SOTOのレギュラーストーブST-310は、コンパクトで火力も安定しているため、多くのキャンパーに愛用されています。しかし、テーブルの上に置くとどうしても高さが出てしまい、調理がしにくいと感じることもあります。そこで近年人気なのが、アイアングリルテーブル(IGT)規格のテーブルにST-310を組み込み、「フラットバーナー」のように扱うカスタムです。見た目がスッキリするだけでなく、調理のしやすさが劇的に向上するこのスタイルの魅力と、安全に楽しむための注意点を詳しく解説します。
ST-310のフラットバーナー化で得られることと注意点
ST-310をテーブルと一体化させるフラットバーナー化は、キャンプサイトの機能美を追求する上で非常に有効な手段です。段差がなくなることで調理スペースが広く使えるようになり、まるで家のキッチンのような快適さが手に入ります。ただし、本来は単体で使用することを前提とした製品を埋め込むため、熱の逃げ道や設置の安定性など、安全面においていくつか注意すべきポイントが存在します。
IGTにビルトインして作業スペースが広がる
ST-310をIGT規格のテーブルにビルトインする最大のメリットは、テーブル天板とバーナーの五徳がほぼ同じ高さになることです。通常の設置方法では、テーブルの上にさらにバーナーの高さが加わるため、鍋の位置が高くなりすぎて調理がしにくい場合があります。フラット化することで、座ったままでも鍋の中身が見えやすくなり、腕を高く上げる必要がないため、長時間の調理でも疲れにくくなります。
また、バーナーがテーブルに埋め込まれることで、バーナーの周囲もフラットな作業スペースとして活用できるようになります。切った食材を置いたり、調味料を並べたりする場所が確保しやすくなり、限られたキャンプテーブルの面積を最大限に有効活用できます。特にソロキャンプやデュオキャンプなど、小さめのテーブルをメインにしている方にとって、この「広さの確保」は非常に大きな利点です。
ゴトク上より見た目と動線が整いやすい
見た目の美しさもフラットバーナー化が支持される理由の一つです。バーナーがテーブルの一部として収まっている姿は、非常に洗練された印象を周囲に与えます。キャンプサイト全体が整理整頓されているように見え、いわゆる「見せるキッチン」としてのクオリティが格段に上がります。ギアの統一感を重視するキャンパーにとって、この一体感は代えがたい魅力といえます。
さらに、動線がスムーズになる点も無視できません。鍋を火から下ろして一時的に横へずらす際、段差がないためスライドさせるだけで済みます。重いダッチオーブンやスープの入った鍋を移動させる際の負担が軽減され、こぼしたり倒したりするリスクも低くなります。調理、食事、片付けという一連の流れがフラットな面の上で完結するため、作業のテンポが良くなり、キャンプでの料理がより楽しいものへと変わります。
輻射熱と風の影響が変わるので対策が必要
フラットバーナー化には多くのメリットがありますが、熱対策には細心の注意が必要です。ST-310を天板に埋め込むと、バーナーの下部やガス缶の周囲に熱がこもりやすくなります。特に大きな鍋や鉄板を使用すると、跳ね返った熱(輻射熱)がテーブル天板やガス缶を直接加熱してしまい、変形や火災の原因になる恐れがあります。遮熱板を適切に使用し、ガス缶が熱くならないよう常に確認することが不可欠です。
また、風の影響についても考慮が必要です。テーブルに埋め込まれることで横風をある程度防げる場合もありますが、逆に風の通り道が限定されることで、炎が不自然に揺れたり、不完全燃焼を起こしたりすることもあります。風防を追加して炎を安定させる工夫は重要ですが、あまりに密閉しすぎると酸素不足になったり、熱がこもりすぎたりするため、空気の通り道をしっかり確保した設計が求められます。
取り付け方によってはメーカー想定外になることがある
ST-310をフラットバーナー化するために使用するプレートやテーブルの多くは、SOTO以外のメーカーが販売しているサードパーティ製品です。これらのアイテムを使用することは、メーカーが本来推奨している使用方法から外れる可能性があります。万が一トラブルや故障が発生した際、メーカー保証の対象外となるケースがあることは理解しておかなければなりません。
特に自作のパーツや無理な改造を伴う取り付けは、思わぬ事故に繋がるリスクを高めます。使用するパーツがST-310の構造を正しく理解して作られているか、耐熱性や強度は十分かを慎重に見極める必要があります。お洒落さや便利さを優先するあまり、安全性を疎かにしてはいけません。自己責任という言葉の重みを念頭に置きつつ、定期的な点検を行いながら、安全な範囲でカスタムを楽しむ姿勢が大切です。
ST-310フラットバーナー化に使えるおすすめアイテム
2026年現在、ST-310をフラット化するための周辺機器は非常に充実しています。精度が高く、初心者でも扱いやすいおすすめのアイテムをまとめました。
| アイテム名 | ブランド | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|---|
| ST-310用IGTトップ | ShineTrip | IGTユニットにぴったり収まる天板プレート | 公式ストア等 |
| BURNER MINI TABLE | WAQ | ST-310/340を直接はめ込める専用テーブル | WAQ公式サイト |
| 遮熱テーブル | CAMPINGMOON | 遮熱とフラット化を同時に実現する高機能板 | CAMPINGMOON公式 |
| IGT互換ユニット天板 | 各社 | ハーフユニットサイズで配置の自由度が高い | [各社販売サイトへ] |
ShineTrip ST-310用IGTトップ(ビルトイン天板)
ShineTripのIGTトップは、既存のIGTテーブルを持っている方にとって最も手軽な選択肢です。1ユニット分のスペースにこのプレートをはめ込み、下からST-310をセットするだけでフラット化が完了します。精度の高いアルミやステンレスで作られており、バーナーをがっちりと固定できるため、使用中のズレやガタつきを最小限に抑えられます。
WAQ BURNER MINI TABLE(ST-310/340対応)
WAQのバーナーミニテーブルは、テーブルそのものにST-310を組み込むための穴が開いている設計です。これ一つで「テーブル兼バーナーベース」として機能するため、荷物を少なくしたいソロキャンパーに最適です。ST-310だけでなく最新のST-340にも対応しており、脚の形状に合わせた切り欠きがあるため、安定感は抜群です。
CAMPINGMOON 遮熱テーブル/遮熱板(ST-310/340対応)
キャンピングムーンの遮熱テーブルは、フラット化と同時に「熱対策」を強力に行いたい場合に選ばれています。バーナー全体を覆うような広い天板が特徴で、輻射熱を効果的にカットしつつ、広大な作業スペースを確保できます。脚を畳めばコンパクトに収納できるため、機動性を重視するスタイルにもマッチします。
IGT互換のST-310対応天板(各社のハーフ/1ユニット天板)
現在、多くのガレージブランドからIGT互換の天板が発売されています。ハーフユニットサイズのものを選べば、1ユニットのスペースにバーナーと小さなテーブルを同居させるなど、レイアウトの自由度が広がります。素材もステンレス、チタン、木製など多岐にわたるため、自分のキャンプサイトの雰囲気に合わせたカスタマイズが可能です。
遮熱板+風防セット(テーブル保護と燃焼安定)
フラット化する際に忘れてはならないのが、遮熱板と風防のセットです。特にテーブル内に埋め込む場合、熱を逃がしつつ風を遮るという相反する機能が必要になります。セット販売されているモデルは、それぞれのパーツが干渉しないよう設計されているため、個別に買い揃えるよりもトラブルが少なく、スムーズに設営を行うことができます。
点火アシストレバー(操作性アップの定番)
テーブルの中にST-310を沈めると、標準の点火スイッチがさらに押しにくくなることがあります。これを解消するのが点火アシストレバーです。大きなレバーで軽い力で点火できるようになるため、フラットバーナー化する際には必須と言っても過言ではないアクセサリーです。これがあるだけで、調理中のストレスが大幅に軽減されます。
IGT対応テーブル(ハーフユニット運用ができるタイプ)
土台となるテーブル選びも重要です。ハーフユニット単位でパーツを組み替えられるテーブルを選ぶと、ST-310の配置を左側にしたり中央にしたりと、その時の献立に合わせて柔軟に変更できます。フラットバーナー化の恩恵を最大限に受けるには、拡張性の高い良質なIGT対応テーブルを手に入れることが第一歩となります。
失敗しないための取り付け確認と安全対策
ST-310をフラットバーナーとして運用する際は、事前の確認が命です。正しく取り付けられていないと、調理中にバーナーが脱落したり、過熱による事故が発生したりするリスクがあります。ここでは、フィールドで安全かつ快適に使い続けるために欠かせない、具体的な設置のコツとメンテナンス方法についてご紹介します。
天板の固定方法とガタつきを先に潰す
バーナーを天板にセットしたら、まずは手で軽く揺らしてガタつきがないかを確認してください。調理中に鍋をかき混ぜたり、重いものを載せたりした際にバーナーが動いてしまうと、非常に危険です。特にサードパーティ製の天板は、ST-310の脚との噛み合わせが微妙に合わないことがあります。必要に応じて脚にシリコンチューブを装着したり、固定金具を調整したりして、完全に密着する状態を作りましょう。
もしガタつきが解消されない場合は、その天板やテーブルの使用を控えるか、補助的なパーツを追加して固定を強化する必要があります。特に「ハーフユニット」で運用する場合は、隣接する天板との隙間に汚れが溜まったり、引っかかったりすることもあるため、全体のフラット感と固定具合を設営のたびに厳しくチェックすることが大切です。
ガス缶が熱くならない配置と遮熱を用意する
フラットバーナー化において最も警戒すべきはガス缶の過熱です。テーブルの下に隠れる配置になることが多いため、外からは温度変化に気づきにくいという落とし穴があります。厚手のステンレス製遮熱板を使用するのはもちろんですが、天板とバーナーの間に適度な隙間を空け、熱が上に逃げるルートを確保しましょう。ガス缶が直接火の真下に来るような配置は避け、できるだけ火源から距離を置くように設置します。
調理中も、時々テーブルの下に手を入れてガス缶の温度を確認する習慣をつけましょう。もし素手で触れて「熱い」と感じるようなら、それは危険信号です。すぐに火を止め、熱を逃がす対策を講じてください。また、CB缶は低温に弱いですが、過熱には非常に敏感です。輻射熱の影響を受けやすい鉄板や大型鍋を使用する際は、通常よりもさらに慎重な温度管理が求められます。
風防は炎を覆いすぎず空気の通り道を作る
風防は炎を安定させるために不可欠ですが、火口を隙間なく囲いすぎてしまうのはNGです。燃焼には酸素が必要なため、空気が循環しないと不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が発生しやすくなるだけでなく、熱が火口付近に集中してバーナー本体を傷める原因になります。風を防ぎつつも、下部や側面から新鮮な空気が取り込めるような「呼吸ができる風防」を選びましょう。
特にテーブルに埋め込むスタイルでは、テーブル自体の枠が風防の役割を果たすこともあります。そのため、追加の風防が必要かどうかは実際の燃焼状態を見て判断してください。炎が綺麗な青色で安定して立ち上がっていれば問題ありませんが、赤い炎が混じったり、火力が極端に落ちたりする場合は、空気供給のバランスが崩れている可能性があります。
使用後は変形・焦げ・ネジ緩みを点検して次回に備える
キャンプが終わった後のメンテナンスが、次回の安全を守ります。フラットバーナー化で使用したプレートやテーブルは、強い熱にさらされています。熱による歪みが生じていないか、塗装が剥げて錆びが出ていないか、取り付けネジが振動で緩んでいないかを点検しましょう。歪みがあるまま無理に使用を続けると、固定力が弱まり事故の原因となります。
また、天板の裏側やガス缶の接続部付近に油汚れやススが付着している場合は、綺麗に拭き取っておきましょう。汚れが溜まると引火の原因になったり、金属の劣化を早めたりします。お気に入りのカスタムギアだからこそ、丁寧に手入れをしてあげることで愛着も深まり、安全性も長く維持できます。次のキャンプで最高のパフォーマンスを発揮できるよう、片付けのひと手間を惜しまないでください。
ST-310のフラットバーナー化は「安定」「遮熱」「風対策」で使い心地が決まる
SOTOのST-310をフラットバーナー化するカスタムは、単なる見た目のお洒落さを超えて、キャンプ料理の質を一段階引き上げてくれる素晴らしい工夫です。IGT規格を活かしたシームレスなキッチン環境は、限られた空間を機能的な調理場へと変え、外で食べるご飯をより特別なものにしてくれます。
しかし、その快適さは「安定性の確保」「徹底した遮熱」「適切な風対策」という3つの柱の上に成り立っています。これらを一つでも疎かにすると、楽しいキャンプが台無しになってしまう可能性もあります。正しい知識と良質なアイテムを選び、安全への配慮を欠かさないことが、フラットバーナー化を成功させる唯一の道です。
2026年のアウトドアシーンにおいても、ST-310は進化し続けています。自分だけの使い勝手を追求した、究極のフラットキッチンを構築してみてください。しっかりと準備されたギアを使いこなし、自然の中で思い切り腕を振るう時間は、あなたにとってかけがえのない贅沢なひとときになるはずです。

