キャンプ飯のクオリティを劇的に変えるアイテムとして注目を集める「マルチグリドル」ですが、いざ購入しようとすると「本家のJHQ」と「人気のフォーシーズン」で何が違うのか、その違いに頭を悩ませる方も多いはずです。
今回は、マルチグリドル、フォーシーズン、JHQの違いを徹底的に比較し、今のトレンドを踏まえた最適な選び方を解説します。
焦げ付きがなくスルスルと焼くことができる!中火でも油いらずで美味しく焼けるので使いやすい
マルチグリドルとフォーシーズンやJHQの違いを見極める基準
本家JHQの品質を重視
マルチグリドルの代名詞とも言えるのが「JHQ(ジェイエイチキュー)」です。このブランドは、マルチグリドルという調理器具を日本に広めたパイオニアであり、その品質の高さは他の追随を許しません。JHQの最大の特徴は、独自の「イノーブルコーティング」にあります。これは約100万回の摩耗テストに耐えるほどの耐久性を誇り、油を引かなくても食材がくっつかないという驚異的な性能を持っています。
また、JHQ製品はPFOA(人体に有害とされる有機フッ素化合物)を一切使用していないため、健康面でも安心して使い続けることができるのが大きなメリットです。安価な類似品の中には、コーティングの安全性が不透明なものもありますが、JHQはその点において確かな信頼性があります。キャンプだけでなく、日常のキッチンでも長く愛用したいのであれば、この「本物」が持つ質感と安心感は、価格差以上の価値を感じさせてくれるでしょう。
熱伝導率の高さもJHQの魅力です。厚みのあるアルミ合金製でありながら、計算された設計によって熱が均一に広がり、肉料理は外がカリッと、中はジューシーに仕上がります。さらに、IH調理器にも対応しているため、家の中と外でシームレスに活用できる汎用性も備えています。品質に妥協したくない、あるいは最初の1枚で絶対に失敗したくないという方は、JHQというブランド基準を軸に据えるのが最も賢明な選択となります。
軽さとコスパで選ぶ
「マルチグリドルに興味はあるけれど、本家は少し高価に感じる」という方に支持されているのが、フォーシーズン(Four Seasons)をはじめとする高コスパ系ブランドです。フォーシーズンの製品は、JHQに比べて数千円ほど安く設定されていることが多く、浮いた予算でケースや木製ハンドルなどのアクセサリーを揃えることができるのが魅力です。初心者の方にとって、この価格のハードルの低さは非常に大きなメリットと言えます。
重量に関しても、フォーシーズンは軽量化に力を入れています。マルチグリドルはもともと軽量な調理器具ですが、バックパッキングや徒歩キャンプを好む方にとって、数十グラムの差が大きな意味を持ちます。チタン配合のコーティングを採用しているモデルもあり、軽さと焦げ付きにくさを両立させている点が特徴です。JHQほどの重厚感はありませんが、軽快に取り回しができるため、サッと取り出してパパッと調理したいスタイルには非常にマッチします。
ただし、安さだけで選ぶのは禁物です。フォーシーズンは比較的信頼できるブランドですが、極端に安い無名ブランドの場合は、数回の使用でコーティングが剥がれてしまうこともあります。フォーシーズンのように、Amazonなどで多くのレビューを獲得し、実際に使っているキャンパーが多いブランドを選ぶことが、コスパと性能を両立させるコツです。手軽にマルチグリドルライフを始めたいなら、この価格帯の選択肢は非常に合理的です。
使用シーンに合う深さ
マルチグリドル選びで意外と見落としがちなのが「盤面の深さ」です。一般的にJHQのスタンダードモデルは比較的フラットな形状をしていますが、最近では「深型」と呼ばれるモデルが各ブランドから登場しています。この深さの違いは、作れる料理の幅に直結します。例えば、ステーキやサムギョプサル、パンケーキなどを焼くのがメインであれば、ヘラが入りやすいフラットなタイプが圧倒的に使いやすいです。
一方で、アヒージョやパエリア、すき焼き、あるいは汁気の多い炒め物を作りたい場合は、中央に向かってしっかりと深みがあるモデルを選ぶ必要があります。深型であれば、油が飛び散りにくく、煮込み料理にも対応できるため、フライパンと鍋の中間のような使い方が可能になります。特に大人数でのグループキャンプや、1つの鍋で全ての工程を完結させたいソロキャンパーにとって、この「深さ」の選択は死活問題となります。
自分の得意料理や、キャンプで何を食べたいかを想像してみてください。焼き料理がメインなら浅型、煮込みや炒め物も楽しみたいなら深型、という明確な基準を持つことで、購入後の「スープがこぼれてしまう」といった後悔を防ぐことができます。現在ではJHQからも深型がリリースされており、選択の幅は広がっています。調理の快適さを左右するこのポイントは、ブランド名と同じくらい重要視すべき項目です。
持ち運びの利便性
マルチグリドルはその形状ゆえに、収納と持ち運びの方法が運用の鍵を握ります。直径が30cmを超えるモデルが多いため、ザックの背面に入れるのか、あるいは専用のトートバッグに入れるのかを事前に想定しておく必要があります。ここで注目したいのが、製品に「収納ケース」が標準で付属しているかどうかです。JHQやフォーシーズンのセットモデルには、しっかりとした厚手のケースが付いているものがあり、これが非常に便利です。
ケースがない場合、剥き出しで持ち運ぶとコーティングが他のギアと擦れて傷ついてしまう恐れがあります。また、調理後の油汚れを完全に落としきれない場面でも、専用ケースがあれば他の荷物を汚さずに撤収できます。持ち運びの利便性は、単に本体の重さだけでなく、こうした「パッキングのしやすさ」を含めて考えるべきです。特にハンドル部分が一体型なのか、あるいは別売りのシリコンや木製ハンドルを装着するタイプなのかによっても、収納サイズは変わります。
さらに、ソロキャンプでの使用をメインに考えているなら、直径19cm程度の小型サイズを選ぶのが正解です。これなら一般的なメスティンやクッカーセットと一緒にスタッキングしやすく、積載に制限があるバイクツーリングなどでも重宝します。逆にファミリーキャンプであれば、33cmクラスの大型サイズが必須となりますが、その分だけ収納場所を確保しなければなりません。「どこへ、どうやって持っていくか」を基準にサイズと付属品を吟味することが、長く使い続けるための秘訣です。
マルチグリドルのおすすめ商品6選|JHQからコスパモデルまで厳選
キャンプや自宅で大活躍するマルチグリドルの中から、ベストセラーを獲得している人気モデルを厳選しました。元祖JHQから、深型で調理の幅が広がるモデルまで、今すぐ手に入る実力派を紹介します。
JHQ 鉄板マルチグリドル 33cm
マルチグリドルブームの火付け役であり、圧倒的な支持を得ている元祖モデルです。独自のイノーブルコーティングにより、油なしでも焦げ付かず、調理後のお手入れも拭き取るだけで完了する手軽さが最大の魅力です。
| 特徴 | 錆びず、焦げ付かず、油不要。シーズニングも一切不要な最高峰のコーティング |
|---|---|
| こんな人におすすめ | 「失敗したくない」という方や、最も手入れが楽な本物志向の方 |
| サイズ/容量 | 直径33cm / 約1L |
| 価格帯 | 9,000円〜10,000円前後 |
| メーカー公式・販売ページ | メーカー公式ページはこちら |
フォーシーズン マルチグリドル パン 33cm
JHQと並び人気の高いブランドで、豊富なサイズ展開とデザイン性が特徴です。JHQに比べて中心部のくぼみがやや深く設計されているモデルもあり、焼き物だけでなく煮込み料理やアヒージョなどにも対応しやすいのが強みです。
| 特徴 | 中心が深く、煮込み料理も得意。デザイン性の高い木製ハンドルが付属 |
|---|---|
| こんな人におすすめ | 焼くだけでなく、パエリアや鍋料理など幅広く調理したい方 |
| サイズ/容量 | 直径33cm / 約1.2L |
| 価格帯 | 5,000円〜7,000円前後 |
| メーカー | fourseasons |
JHQ 鉄板マルチグリドル ディープ 29cm
人気のJHQから登場した、待望の「深型」モデルです。直径は少しコンパクトになりましたが、底が深くなったことでスープ料理や蒸し料理が格段に作りやすくなり、ソロからデュオキャンプに最適なサイズ感となっています。
| 特徴 | 4cmの深さがあり、アクアパッツァや煮込みハンバーグに最適 |
|---|---|
| こんな人におすすめ | 汁物料理をメインに楽しみたいソロ・デュオキャンパーの方 |
| サイズ/容量 | 直径29cm / 約1.6L |
| 価格帯 | 10,000円〜11,000円前後 |
| メーカー公式・販売ページ | メーカー公式ページはこちら |
FIELDOOR マルチグリドルパン 36cm
コストパフォーマンスに優れたアウトドア用品を展開するFIELDOORの大型モデルです。リーズナブルながらもしっかりとしたフッ素樹脂加工が施されており、大人数でのBBQやファミリーキャンプで豪快に肉を焼くのに適しています。
| 特徴 | 大人数に対応する36cmの広大な面積と、圧倒的な低価格 |
|---|---|
| こんな人におすすめ | ファミリーキャンプ用として、コスパ重視で大型サイズが欲しい方 |
| サイズ/容量 | 直径36cm / 約1L |
| 価格帯 | 3,500円〜4,500円前後 |
| メーカー公式・販売ページ | メーカー公式ページはこちら |
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) アルミ鋳物 マルチグリドルパン 30cm
日本を代表するアウトドアブランド「キャプテンスタッグ」が手掛ける、安心感抜群のマルチグリドルです。アルミ鋳物製で熱伝導率が高く、表面にはふっ素樹脂加工が施されているため、肉や卵料理もこびりつかずにストレスなく調理できます。
| 特徴 | 日本ブランドならではの信頼性と、油を弾くふっ素樹脂加工 |
|---|---|
| こんな人におすすめ | アフターサービスも含め、国内大手ブランドの製品を愛用したい方 |
| サイズ/容量 | 直径30cm |
| 価格帯 | 4,500円〜6,000円前後 |
| メーカー公式・販売ページ | メーカー公式ページはこちら |
イワタニ カセットフー タフまるXG グリルプレート
カセットコンロの最大手イワタニが手掛ける、自社コンロに最適化されたグリドルです。底面の形状がイワタニ製コンロのごトクにしっかりフィットするように設計されており、調理中の滑りやズレを防ぐ安全性の高さが魅力です。
| 特徴 | イワタニ製カセットコンロにジャストフィットする抜群の安定感 |
|---|---|
| こんな人におすすめ | 普段からイワタニのタフまる等のコンロを愛用している方 |
| サイズ/容量 | 直径約30cm |
| 価格帯 | 4,000円〜5,000円前後 |
| メーカー公式・販売ページ | メーカー公式ページはこちら |
マルチグリドル各製品を比較する際の具体的な項目
コーティングの耐久性
マルチグリドルの命とも言えるのが、表面のコーティングです。このコーティングがあるからこそ、油を引かずに卵が滑り、焦げ付きを一切気にせずに調理ができます。しかし、製品によってこの「持ち」には大きな差が出ます。JHQが採用しているイノーブルコーティングは、独自の多層構造になっており、粒子が細かく密着度が高いため、長期間使用しても性能が落ちにくいのが最大の特徴です。安価なモデルでは数ヶ月で焦げ付きが始まることがありますが、JHQは1年以上使い続けても新品時と変わらない性能を維持しているという声が多く聞かれます。
比較する際は、単に「焦げ付かない」という広告文句だけでなく、どのようなコーティング技術が使われているかを確認してください。チタンコーティングやフッ素樹脂加工など、名称は様々ですが、その耐久テストの回数やユーザーレビューでの評価が最も信頼できる指標となります。特にキャンプでは、焚き火の強火力に晒されたり、硬いトングが触れたりと、過酷な環境で使用されるため、表面保護の強さはそのまま製品寿命に直結します。少し高価でも耐久性の高いものを選ぶことが、結果として買い替えのコストを抑えることにつながります。
また、コーティングの質は「洗いやすさ」にも影響します。高品質なコーティングであれば、調理後にキッチンペーパーでサッと拭き取るだけで、次の料理に取り掛かれるほど汚れが落ちます。キャンプ場での水洗いは手間がかかることが多いため、この「拭き取りだけで綺麗になる」という感覚は、一度体験すると戻れなくなるほど快適です。耐久性とメンテナンス性は表裏一体であり、この項目こそがマルチグリドル選びで最も妥協してはいけないポイントと言えるでしょう。
熱伝導率と保温性
マルチグリドルはアルミ合金を主成分としているため、鉄板と比較して非常に熱伝導率が良いのが特徴です。熱伝導が良いということは、火にかけてからすぐに調理が始められるというメリットがあります。特にJHQの製品は、底面の厚みが均一かつ最適に設計されており、中心部の熱が外側までスムーズに伝わります。これにより、大きな肉を焼く際も焼きムラができにくく、プロのような仕上がりが期待できます。比較する際は、本体の厚み(底厚)をチェックしてみてください。あまりに薄すぎる製品は、熱が急激に上がりすぎて食材が焦げやすかったり、本体が熱で歪んでしまったりするリスクがあります。
一方で、アルミ製であるがゆえに「保温性」という点では鉄板に一歩譲ります。しかし、近年の高品質なマルチグリドルは、アルミの配合や厚みを調整することで、この弱点を克服しつつあります。調理後そのままテーブルに出しても、しばらくは温かい状態で料理を楽しむことができます。特に厚手のモデルは熱を蓄える力が強く、外気温が低い冬のキャンプでも料理がすぐに冷めてしまうのを防いでくれます。熱伝導率の良さと、適度な保温性のバランスが取れているかどうかが、使い勝手を左右する重要な比較項目です。
さらに、熱源との相性も考慮する必要があります。IH調理器に対応しているモデルであれば、底面がフラットで磁性を持っているため、家での普段使いでも熱効率を損なうことがありません。ガス、焚き火、IHと、あらゆる熱源で安定して同じ熱性能を発揮できるかどうかは、精密な金属加工技術があるブランドならではの強みです。料理を美味しく作るという本質的な目的に対して、その熱制御の能力がどれだけ優れているか。ここはブランドの技術力の差が最も顕著に現れる部分です。
付属アクセサリーの有無
マルチグリドルを単体で購入するか、セットで購入するかは、その後の満足度に大きく関わります。特に注目すべきは「専用の木製ハンドル」と「収納ケース」です。マルチグリドルは調理中に持ち手部分まで非常に熱くなるため、ハンドル(取っ手)がないと移動させることができません。多くの製品ではシリコン製の鍋つかみが付属していますが、見た目や安定感を重視するなら木製ハンドルが圧倒的に優れています。最初からジャストサイズのハンドルがセットになっているモデルを選べば、別で購入する手間も省けますし、フィッティングの問題もありません。
次に重要なのが収納ケースです。33cmクラスの大型マルチグリドルは、一般的なクッカーケースには収まりません。専用のケースがあれば、クッション性が高く本体を保護できるだけでなく、予備のハンドルやカトラリーなどをまとめて収納できるポケットがついているものもあり、キャンプの準備が劇的に楽になります。フォーシーズンのように、魅力的なデザインのケースが標準装備されているブランドは、トータルコーディネートを気にするキャンパーにとって非常にポイントが高いと言えます。
また、一部の高級モデルでは、鍋敷きとしても使えるケースや、蒸し料理に使える専用の蓋がオプションで用意されていることもあります。これらのアクセサリーが充実しているブランドを選ぶことは、単に「おまけが付いている」以上の意味があります。そのブランドがユーザーの使用シーンをどれだけ深く理解しているか、そして将来的に機能を拡張していけるかという信頼の証でもあるからです。購入前に、本体代金に何が含まれているのか、そしてどんなオプションが展開されているのかを必ず確認しましょう。
対応する熱源の種類
マルチグリドルを選ぶ際に意外と盲点になるのが、対応する熱源の広さです。多くのマルチグリドルはガス火と焚き火(直火)には対応していますが、家庭用の「IH調理器」に対応しているかどうかは製品によって異なります。JHQなどの高品質なモデルは、底面に特殊な加工を施しており、IHでも効率よく熱を伝えることができます。これにより、週末はキャンプで豪快に使い、平日は家のキッチンでサムギョプサルや餃子を焼くといった、1年中フル活用できるスタイルが可能になります。
もし「キャンプでしか使わない」と割り切っているのであれば、IH非対応の安価なモデルでも問題ありませんが、少しでも家庭での利用を考えているなら、IH対応モデルを強くおすすめします。また、焚き火での使用についても注意が必要です。一部のコーティングが弱い安価な製品は、焚き火のような局所的に超高温になる熱源で使用すると、コーティングが急激に劣化したり、最悪の場合は本体が変形したりすることがあります。直火対応を明記しており、かつ熱変形に強い厚みを持った製品を選ぶことが、長く安全に使うための絶対条件です。
さらに、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターなど、マルチな熱源に対応しているかどうかもチェック項目です。特に最新のJHQ製品などは、熱源を選ばない汎用性の高さが売りの一つです。自分が普段どのような環境で調理をするのか、そして今後どのようなスタイルに挑戦したいのか。その可能性を狭めないためにも、対応熱源の広さは「ただのスペック」以上の意味を持ちます。自宅のキッチンがIHの方はもちろん、将来的な引越しなどで環境が変わる可能性がある方も、この対応熱源の広さを重視して選ぶのが正解です。
マルチグリドルを長く愛用するための注意点と活用法
表面を傷つけない調理具
マルチグリドルの最大の特徴であるコーティングを守るためには、使用する調理器具選びが極めて重要です。いくら耐久性が高いJHQやフォーシーズンの製品であっても、金属製の鋭利なトングやヘラでガリガリと擦ってしまえば、コーティングの寿命を早めることになります。基本的には、シリコン製や木製、竹製の調理器具を使用することを強くおすすめします。これらは表面に優しく、大切なコーティングを傷つけるリスクを最小限に抑えてくれます。
特にキャンプでは、つい金属製のマルチツールやナイフを盤面の上で使いたくなる場面がありますが、これは厳禁です。せっかくの「食材が滑る」魔法のような感覚を維持するためには、柔らかい素材のツールを選ぶという少しの配慮が、数年後のコンディションに大きな差を生みます。最近では耐熱温度の高いシリコンヘラなども多く販売されており、それらを使えばマルチグリドルの曲線に合わせて食材を効率よく返すこともできるため、調理効率自体も向上します。
もし、どうしても金属製を使いたい場合は、先端が丸みを帯びているものを選び、力を入れすぎないように注意してください。しかし、やはり基本は「非金属」です。お気に入りのマルチグリドルを長く愛用し、いつまでもストレスフリーな調理を楽しむために、調理器具との相性には常に気を配っておきましょう。この小さな習慣が、結果として最もコストパフォーマンスを高めるメンテナンスとなるのです。
適切な洗浄と乾燥方法
使用後のお手入れのしやすさはマルチグリドルの魅力ですが、間違った洗浄方法は劣化を招きます。最も注意したいのは「急冷」です。調理直後の熱々に熱せられた本体に、冷たい水を勢いよくかけるのは避けてください。急激な温度変化(ヒートショック)は、アルミ合金の歪みやコーティングの剥離を引き起こす原因となります。使い終わったら、少し時間を置いて手で触れるくらいの温度まで冷めてから洗うか、お湯を使って洗うのが理想的です。
洗剤についても、基本的には中性洗剤と柔らかいスポンジで十分です。研磨剤入りのスポンジや金属たわしは絶対に避けてください。驚くほど汚れが落ちやすいため、強い力でこする必要はありません。また、マルチグリドルは鉄板のような「油ならし(シーズニング)」が不要な製品がほとんどです。むしろ、油を焼き付けるような行為はコーティングの隙間に古い油が入り込み、焦げ付きの原因になることすらあります。洗った後は、乾いた布でしっかりと水分を拭き取り、乾燥した状態で保管してください。
キャンプ場での撤収時、もし水洗いができない場合は、キッチンペーパーで汚れを念入りに拭き取るだけでも一時的には問題ありません。ただし、帰宅後には必ず適切に洗浄して、塩分や酸性の汚れを残さないようにしましょう。マルチグリドルは「育てる」道具ではなく、「維持する」道具です。この適切な洗浄と乾燥のルーチンを守ることで、何年経っても「卵が滑る」快感を維持し続けることが可能になります。
専用ケースでの保管
マルチグリドルは、その平べったい形状から収納場所に困ることがあります。また、表面が露出した状態で他のキャンプギアと一緒にコンテナに放り込むと、移動中の振動で他の硬い道具(ペグやハンマーなど)と接触し、傷がつく原因になります。これを防ぐために、専用のケースに入れて保管・運搬することを徹底しましょう。メーカー純正のケースがない場合でも、市販の33cm対応ケースや、厚手の帆布バッグなどで代用可能です。
ケースに入れることのもう一つのメリットは、衛生面の維持です。調理面が常に保護されているため、いざ使おうとした時に埃を被っていたり、虫が付着していたりすることを防げます。また、マルチグリドルには持ち手部分に小さな穴が開いているモデルが多く、自宅ではフックにかけて「見せる収納」として吊るしておくのも良い方法です。通気性が確保され、錆(アルミ特有の白い腐食)の発生も抑えることができます。
特に、セットで購入した際に付属してくるケースは、その製品の形状にジャストフィットするように作られています。隙間なく収まることでパッキングの際のデッドスペースを減らし、車の積載効率も向上します。マルチグリドルを「単なる板」として扱うのではなく、デリケートなコーティングを纏った精密な調理器具として扱い、常にケースで保護する。この意識を持つだけで、ギアに対する愛着も深まり、結果として大切に長く使い続けるモチベーションにもつながります。
焚き火調理時の火加減
マルチグリドルは焚き火での調理をより楽しくしてくれますが、火加減のコントロールには注意が必要です。アルミ合金は熱伝導が良い反面、鉄よりも融点が低いため、想像以上の強火力(特に炭火の直近や激しい炎)に長時間さらされると、コーティングが焼き付いてしまったり、最悪の場合は本体が軟化して変形したりする恐れがあります。理想的な火加減は「中火以下」です。熱伝導率が高いため、強火にしなくても十分に食材に熱を通すことができます。
焚き火で使用する際は、炎が直接当たって盤面が真っ赤になるような状態は避けてください。五徳などを使って火元から適度な距離を保ち、熱が全体に均一に回るように調整するのがコツです。また、空焼き(食材を乗せない状態で加熱し続けること)もコーティングには大きなダメージとなります。調理を始める直前に火にかけ、熱くなったらすぐに油(少なめでOK)や食材を投入するように心がけましょう。
火加減をマスターすれば、マルチグリドルで最高のステーキや餃子を焼くことができます。外側はカリッと、中はジューシーに仕上がるのは、マルチグリドルならではの熱効率のおかげです。焚き火の揺らぎを感じながら、適切な温度管理で料理を作る。このプロセス自体をキャンプの醍醐味として楽しむことができれば、あなたのマルチグリドルは一生モノの相棒になってくれるはずです。強すぎる火は毒、適度な火は薬。この原則を忘れずに、焚き火調理を楽しんでください。
自分に最適なマルチグリドルでキャンプ料理を楽しもう
マルチグリドルを選ぶ際に、本家のJHQか、コスパのフォーシーズンか、あるいは他のブランドかで迷うことは非常に楽しいプロセスです。今回ご紹介したように、耐久性と信頼性を最優先するならJHQ、予算を抑えつつ軽快に使い始めたいならフォーシーズンやFIELDOORといった選択肢が今のトレンドです。大切なのは、ブランド名に惑わされるだけでなく、自分のキャンプスタイル(人数、料理の種類、移動手段)に最も合致する「サイズ」と「深さ」を見極めることです。
一度マルチグリドルを手にすれば、これまでの調理の常識が覆されるはずです。油を使わなくてもヘルシーに焼け、後片付けはサッと拭くだけ。この手軽さは、キャンプでの自由な時間を増やし、料理のストレスを劇的な快感へと変えてくれます。朝食の目玉焼きから、夜の豪華なパエリアまで、たった一枚の「魔法の鉄板」があなたのキャンプライフをより豊かなものにしてくれるでしょう。
この記事で紹介した比較ポイントやおすすめ商品を参考に、ぜひ後悔のない一枚を選び抜いてください。高品質なマルチグリドルは、適切なメンテナンスさえ行えば、何年もあなたのそばで美味しい料理を提供し続けてくれます。お気に入りのマルチグリドルをザックに忍ばせ、次回のキャンプで最高の料理を振る舞う瞬間を想像してみてください。その準備は、もうここから始まっています。自分にぴったりのマルチグリドルと一緒に、素晴らしいアウトドア体験を存分に楽しみましょう。

