スノーピークの「エントリーIGT」は、手頃な価格ながらIGT規格のユニットを組み込める拡張性の高いテーブルです。標準ではウッド天板が付属していますが、ここに他社の製品や特定の収納用品を組み合わせることで、驚くほど使い勝手の良いオリジナルのキッチンシステムが完成します。今回は、隙間なく美しく収まる「シンデレラフィット」の秘訣と、おすすめのアイテムを詳しくご紹介します。
エントリーIGTのシンデレラフィットで作業台が化ける
どこが「ハマる」のかは規格と寸法で決まる
エントリーIGTを使いこなす上で最も大切なのが、スノーピークが提唱する「IGT(アイアングリルテーブル)」の規格を理解することです。このテーブルの開口部は、1ユニットが「250mm×360mm」というサイズで設計されており、合計で3ユニット分のスペースが確保されています。この決められた枠の中に、いかに隙間なくギアを配置できるかが、シンデレラフィットの醍醐味です。
市販のキャンプ用品の中には、この250mmやその半分の125mm(ハーフユニット)に合わせた製品が多く存在します。フレームの内側には天板を引っ掛けるためのわずかな段差があり、そこにぴったりと収まることで、まるで最初から一体だったかのような美しい作業面が生まれます。
また、縦横のサイズだけでなく「深さ」も重要です。フレームの厚みは約12mm程度となっており、この厚みに近い天板を選ぶことで、テーブル表面がフラットになります。逆に深さのあるメッシュバスケットなどを組み合わせれば、天板の下の空間を収納として有効活用することもできます。まずはこの「250×360」という数字を意識して、お手持ちのギアを測ってみることから始めてください。
1ユニットとハーフの組み合わせを先に決める
エントリーIGTの3ユニット分のスペースをどう分割するかで、キャンプサイトの快適性は大きく変わります。基本となるのは、1ユニットサイズの天板を3枚並べるスタイルです。しかし、これでは配置が固定されがちです。そこで活用したいのが「ハーフユニット(125mm×360mm)」の存在です。ハーフユニットを組み合わせることで、レイアウトに圧倒的な自由度が生まれます。
例えば、中央にバーナー(1ユニット)を配置し、その両サイドにハーフユニットの天板を2枚ずつ計4枚並べる、といった構成が可能です。このように細かく分割できると、調理中だけ天板を1枚外して調味料を取り出すといった、柔軟な使い方ができるようになります。
理想的な組み合わせを決める際は、まず「メインで使う熱源」をどこに置くかを考えます。その残りのスペースを1ユニットで埋めるのか、ハーフユニットを組み合わせて隙間を作るのかをパズルのように組み立てていきます。自分にとって最も使いやすい「黄金比」を見つけることで、エントリーIGTはただのテーブルから、機能的なシステムキッチンへと進化します。
熱源まわりは耐熱と段差の扱いが重要になる
エントリーIGTで最も人気のあるカスタマイズが、ガスバーナーの組み込みです。特にスノーピークの「フラットバーナー」は、1ユニットサイズに完璧に収まるよう設計されています。熱源をテーブルに埋め込むことで、鍋やフライパンの位置が低くなり、座ったままでも調理がしやすくなるのが大きなメリットです。
ここで注意したいのが、熱源の隣に置く天板の素材です。標準のウッド天板も魅力的ですが、火の近くでは焦げや変色のリスクがあります。そのため、バーナーのすぐ隣にはステンレス製やアルミ製の天板を配置するのが鉄則です。耐熱素材の天板であれば、火から下ろしたばかりの熱い鍋をそのまま置くことができるため、調理の動線が非常にスムーズになります。
また、バーナーの種類によっては、フレームとの間にわずかな段差が生じることがあります。五徳の高さが天板より高すぎると安定感が損なわれ、逆に低すぎると周囲の天板に熱が伝わりやすくなります。使用するバーナーがフラットに収まるかどうか、あるいは遮熱板などの追加パーツが必要かどうかを事前に確認しておくことで、安全かつ快適な調理環境を整えることができます。
収納と持ち運びまで含めて満足度が変わる
シンデレラフィットの追求は、テーブルの上だけではありません。撤収時の収納や運搬において、どれだけ効率よくまとめられるかも重要なポイントです。エントリーIGTは脚が折りたたみ式で固定されているため、収納時の厚みはある程度決まってしまいます。この厚みの範囲内に、追加した天板やユニットをいかに収めるかが腕の見せ所です。
おすすめは、スノーピークの「マルチコンテナ」などのソフトケースを活用することです。IGTユニットをまとめて収納できる専用ケースを使えば、移動中のガチャつきを防ぎ、天板同士がぶつかって傷つくのを防げます。また、テーブルの下に吊り下げるタイプのメッシュトレーを導入している場合は、そのまま小物を入れた状態で運べるかどうかをチェックしておくと、設営と撤収の時間を大幅に短縮できます。
さらに、自宅での保管時にもフィット感を意識すると満足度が高まります。バラバラになりがちなユニット類を、一つのトートバッグやコンテナにまとめて「エントリーIGTセット」として管理しておけば、忘れ物の心配もなくなります。使い勝手、見た目、そして運搬のしやすさ。この三拍子が揃ってこそ、本当の意味でのシンデレラフィットと言えるのではないでしょうか。
エントリーIGTに合うおすすめアイテムと組み合わせ例
1ユニット天板でフラットな作業面を増やす
エントリーIGTの基本となる拡張パーツです。標準のウッド天板と入れ替えたり、バーナーの横に配置したりすることで、広々とした作業スペースを確保できます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| ウッドテーブル W竹 | 標準的な竹製の天板で、1ユニット分のスペースを埋めることができます。 | 公式サイト |
ハーフ天板でレイアウトの自由度を上げる
125mm幅のハーフユニットは、細かな調整に最適です。1ユニットのスペースを2枚で埋めることができるため、片方だけを外して使うといった応用が効きます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| ウッドテーブル S竹 | 半分のサイズの天板です。レイアウトの微調整や隙間埋めに重宝します。 | 公式サイト |
バーナー用ユニットで調理動線をまとめる
エントリーIGTをキッチンに変える主役級のアイテムです。フレームに吊り下げるように設置することで、テーブル面を広く保ちながら調理が可能です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| フラットバーナー | 1ユニットサイズのバーナー。五徳を外せばフラットになり、天板としても機能します。 | 公式サイト |
ステンレス系の天板で熱い鍋を置けるようにする
火の回りで使用するなら、耐熱性の高いステンレス素材が必須です。ウッド天板の焦げを気にせず、ガシガシ使えるタフさが魅力です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| ステンレストレー 1ユニット | 汚れが落ちやすく、熱いものも置ける万能なステンレス製天板です。 | 公式サイト |
収納ケースでガチャつきを減らして運搬を楽にする
増えてしまった天板やバーナーを一つにまとめるためのケースです。専用品を選ぶことで、中でパーツが暴れるのを防ぎ、スマートに持ち運べます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| ユニットギアバッグ110 | 1ユニットサイズのギアをまとめて収納できる、クッション性の高いバッグです。 | 公式サイト |
小物トレーで調味料やツールの定位置を作る
天板の下のデッドスペースを有効活用するためのメッシュバスケットです。散らかりがちな小物をまとめて収納でき、テーブルの上を常に綺麗に保てます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| メッシュトレー 1unit 浅型 | 調味料やカトラリーを入れるのに最適。通気性がよく、洗った後の乾燥にも使えます。 | 公式サイト |
エントリーIGTのシンデレラフィットを失敗しない確認ポイント
実寸の測り方と「溝」に乗る部分のチェック
シンデレラフィットを狙って他社製品を購入する際、最も多い失敗が「外寸だけで判断してしまうこと」です。エントリーIGTのフレームには、天板を支えるための細い「受け」の溝があります。製品全体のサイズが250mm×360mmであっても、四隅の形状や底面の出っ張りによっては、この溝にうまく乗らずに浮いてしまうことがあります。
特に、100円ショップのトレーや他社のアウトドアブランドの天板を流用する場合は注意が必要です。計測すべきは、製品の「最大幅」だけでなく、実際にフレームと接触する「縁(ふち)」の寸法です。縁の幅が数ミリ足りないだけで、使用中に天板が下に落ちてしまう危険があります。
また、角の丸み(R形状)も重要なチェックポイントです。エントリーIGTのフレームの角はわずかに丸みを帯びているため、完全に直角な天板だと、角が干渉して奥までしっかりはまらないことがあります。購入前に、手持ちの標準天板の角の形を参考にしながら、候補となるアイテムの細部を写真や実物で確認するようにしてください。
板厚と角の形で段差やガタつきが出る理由
テーブル表面をフラットにするためには、天板の「厚み」に注目しなければなりません。IGT規格の純正天板は、フレームの段差に合わせた最適な厚みで作られています。しかし、DIYで自作したウッド天板や、安価な金属板を使用すると、厚みが足りずに1〜2mmの段差ができることがよくあります。
わずかな段差であっても、その上にマグカップを置いたときに斜めになったり、調理中に包丁が引っかかったりすると、ストレスの原因になります。特に、複数の異なるブランドの天板を混ぜて使う場合は、それぞれの厚みを揃えるのが難しいものです。ガタつきが気になる場合は、フレームの溝に薄いゴムシートやフェルトを貼って高さを微調整するなどの工夫が必要になります。
さらに、角の形状が一致していないと、天板同士の間に不自然な隙間ができてしまいます。この隙間には食べこぼしやゴミが溜まりやすく、掃除の手間が増えてしまいます。見た目の美しさだけでなく、衛生面や使い勝手を考慮しても、角の形と厚みが揃っていることは、シンデレラフィットを成功させるための不可欠な要素です。
熱源の位置と風対策で使い勝手が変わる
バーナーをエントリーIGTに組み込む場合、その「位置」が使い勝手を大きく左右します。多くの方は右利きの場合、右側にバーナー、左側に作業スペースを配置することを好みますが、風向きによってはこれが逆効果になることもあります。キャンプサイトの状況に合わせて、ユニットを左右に入れ替えられる柔軟性を持たせておくのが賢明です。
また、バーナーをテーブルに埋め込むと、風の影響を受けやすくなる場合があります。通常の卓上コンロであれば風防が立てやすいですが、IGTに埋め込んでいると、風防が天板と干渉してしまうことがあるからです。スノーピークのフラットバーナーのように、五徳の下で燃焼が完結するタイプであれば比較的風に強いですが、それでも強風時には火力が安定しないことがあります。
シンデレラフィットを考える際は、バーナーの周りに専用のウィンドスクリーンを設置できる余裕があるか、あるいは周辺の天板を少し外して風除けとして機能させられるか、といった運用面のシミュレーションも行っておきましょう。機能美を追求しつつ、実際のフィールドでの環境変化に対応できるレイアウトこそが、真に「化ける」作業台の条件です。
ぐらつき対策と固定方法を用意しておく
どれだけサイズがぴったりでも、天板をただ置いただけの状態では、移動時や不意に手が当たった際にガタガタと音がしたり、ずれたりすることがあります。エントリーIGTは持ち運びを前提とした軽量な作りであるため、重厚なアイアングリルテーブルに比べると、わずかな振動が伝わりやすい傾向にあります。
このガタつきを抑えるためのコツは、ユニット間に適度な「テンション」をかけることです。例えば、天板の裏側に小さなクッション材を貼る、あるいはフレームとの接地面に滑り止めのテープを貼るだけで、静音性と安定感が見違えるほど向上します。また、バーナーなどの重いユニットは中央付近に配置することで、全体の重心が安定し、テーブル自体のぐらつきも軽減されます。
特に注意が必要なのが、ハーフユニットを多用する場合です。枚数が増えるほど接点が多くなり、わずかな寸法の誤差が積み重なって大きな隙間になることがあります。そんなときは、ユニットを端に寄せて固定するクリップや、天板同士を連結するパーツを自作・併用するのも一つの手です。「置くだけ」で終わらせず、しっかりと「固定」する意識を持つことで、よりプロフェッショナルなキッチンシステムに近づきます。
エントリーIGTのシンデレラフィットは規格と用途をそろえると決まる
エントリーIGTを自分だけの理想的なテーブルに進化させるためには、IGT規格というルールの中で、いかに自分のキャンプスタイル(用途)を当てはめていくかが重要です。ただ隙間なく埋めるだけでなく、熱に強い素材を適所に配し、調理の流れを止めることのないレイアウトを組む。そのプロセスこそが、キャンプ準備の楽しみでもあります。
今回ご紹介した寸法や板厚、熱対策のポイントを押さえることで、失敗のリスクを最小限に抑えつつ、最高の一体感を手に入れることができます。お気に入りのギアたちが吸い込まれるようにフレームに収まる快感を、ぜひ次のキャンプで体感してください。完璧に整えられた作業台は、あなたのキャンプ料理をさらに一段上のレベルへと引き上げてくれるはずです。

