キャンプの醍醐味といえば焚き火ですが、その火を利用して作る「焼き芋」は格別の味わいです。しかし、いざやってみると「外は真っ黒なのに中は生」だったり、甘みが足りなかったりと、意外と難しいものです。
お店で売っているような、ねっとりと甘い焼き芋を作るには、火加減と準備にちょっとしたコツがあります。今回は、失敗を防ぎ、最高のさつまいもを焼き上げるための方法を詳しく解説します。
ねっとり甘くしっとりとした食感がたまらないたっぷり蜜のさつまいも!焼き芋にぴったり
焚き火でさつまいもを甘く焼くコツは「熾火でじっくり」にあり
さつまいもの甘みを最大限に引き出す正体は、麦芽糖という糖分です。さつまいもに含まれる成分が、特定の温度帯でじっくり加熱されることで、でんぷんが甘い糖へと変化します。
この変化を促すには、急激に熱を上げるのではなく、中までじわじわと熱を伝えることが欠かせません。焚き火の強い炎を避け、安定した熱源である「熾火」を活用することが、成功への一番の近道となります。
甘くなりやすいさつまいもの選び方
焼き芋の仕上がりは、選ぶさつまいもの品種によって大きく二つに分かれます。最近主流の「ねっとり系」を目指すなら、「べにはるか」や「安納芋(あんのういも)」が最適です。
これらの品種は糖度が非常に高く、じっくり焼くことで蜜が溢れ出すような食感になります。一方、昔ながらの「ホクホク系」が好みであれば、「紅あずま」や「鳴門金時」を選ぶと、栗のような上品な甘さと食感を楽しめます。
選ぶ際のポイントは、皮の色が鮮やかで、ツヤがあるものを選ぶことです。また、表面に蜜が固まったような黒い跡(ヤラピン)があるものは、糖度が高い証拠といわれています。
サイズについては、焚き火で焼くなら「中サイズ」で、形がラグビーボールのようにふっくらしているものがおすすめです。細すぎるものはすぐに火が通りすぎて乾燥しやすく、太すぎるものは芯まで熱を通すのに時間がかかりすぎて、外側が焦げるリスクが高まるためです。
焼きやすい火の状態は炎より熾火
焚き火で料理をする際、多くの人が「燃え盛る炎」の中に食材を投入してしまいがちですが、これは焼き芋において失敗の最大の原因です。炎は温度が数百度から千度近くに達することもあり、さつまいもの外側だけを一瞬で炭にしてしまいます。
理想的なのは、薪が燃え尽きて赤く光っている「熾火(おきび)」の状態です。熾火は炎が出ない代わりに、安定した強い遠赤外線を放射するため、厚い皮を通り越して芯まで均一に熱を伝えてくれます。
熾火を作るには、まず太めの薪をしっかり燃やし、崩れるまで待ちます。薪の形が残りつつも表面が白く灰を被り、内部が真っ赤に透き通っている状態がベストです。
この熾火を焚き火台の片側に寄せ、その周辺の「熱気が溜まっている場所」にさつまいもを配置します。直接熾火の上に置くのではなく、熾火の熱を反射させるように配置することで、焦げ付きを防ぎながら、甘みを引き出す温度(60〜70度程度)を長時間維持することが可能になります。
焼き時間の目安とサイズ別の考え方
焚き火での焼き時間は、季節や風の強さ、熾火の量に左右されますが、標準的な中サイズ(200g〜300g程度)であれば40分から60分程度が目安です。最初の20分ほどで一度ひっくり返し、全体に均等に熱が当たるように調整します。
もし大きなサイズを焼く場合は、1時間以上かけるつもりで気長に待ちましょう。逆に小さなサイズや、細長いタイプのものは30分程度で一度様子を確認するのが安全です。
焼き時間の考え方として大切なのは、「早く食べたい」という気持ちを抑えることです。甘みを引き出す酵素は、低温で長く加熱されるほど活発に働きます。
そのため、熾火の勢いが弱まってきたら少しだけ新しい細薪を足して熱を補いながら、じっくりと時間をかけて育てるような感覚で焼いてください。箸がスッと通るまで待つのはもちろんですが、皮を上から軽く押してみて、中が柔らかくなっている感覚があれば、完成は間近です。
失敗しやすい原因と避け方
焼き芋で最も多い失敗は「表面が焦げて中が硬い」という現象です。これは火が強すぎる、あるいはさつまいもを火に近づけすぎていることが原因です。アルミホイルを巻いていても、直火にさらされれば熱が一点に集中し、焦げを招きます。これを避けるには、熾火との距離を保ち、こまめに転がすことが大切です。
また、アルミホイルを二重に巻く、あるいは濡れた新聞紙で包んでからホイルを巻くといった「遮熱と保湿」の工夫で、焦げのリスクを大幅に減らせます。
もう一つの失敗は「パサパサになってしまう」ことです。これは水分の蒸発を防げなかった場合に起こります。洗った後の水分を拭き取らずにそのまま包む、あるいは新聞紙をしっかり濡らして包むことで、蒸し焼きの状態を作り出し、しっとりとした仕上がりを保てます。
また、焼けたかどうか不安で何度もホイルを開けてしまうと、そのたびに熱と水分が逃げてしまいます。時間はタイマーなどでしっかり管理し、余計な開封を避けることが、美味しく焼き上げるための鉄則です。
焚き火で絶品焼き芋を作る!おすすめのさつまいもと便利道具5選
焚き火の熱を最大限に活かして、プロ級の焼き芋を作るためには「素材」と「熱管理」が重要です。ここでは、Amazonで購入できる焼き芋に最適なさつまいもと、失敗を防ぐための必須ギアをピックアップしました。
茨城県産 さつまいも 紅はるか
焼き芋にするなら、糖度が極めて高く、加熱するとしっとりクリーミーな食感になる「紅はるか」が一番のおすすめです。特に茨城県産は品質が安定しており、熾火でじっくり焼くことで蜜が溢れ出すような甘さを堪能できます。
| メーカー/産地 | JA全農いばらき |
|---|---|
| 品種 | 紅はるか |
| 特徴 | 高い糖度、加熱後のしっとり感、焼き芋に最適なサイズ感 |
| 保存方法 | 常温保存(冷暗所) |
ロゴス(LOGOS) BBQお掃除楽ちんシート(極厚)
焚き火の高温でさつまいもを焼く際、家庭用のアルミホイルでは破れたり焦げ付いたりしがちです。この極厚シートは通常の約3.5倍の厚みがあり、熾火の中に長時間置いても破れにくく、熱を均一に伝えて芋が焦げるのを防いでくれます。
| メーカー | ロゴス(LOGOS) |
|---|---|
| 素材 | アルミニウム箔(極厚) |
| 厚さ | 0.035mm |
| 特徴 | 強火でも破れにくい、焦げ付き防止、包み焼きに最適 |
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) ロング火バサミ
熾火の温度調節や、熱いアルミ包みを安全に取り出すためには、長めの火バサミが不可欠です。キャプテンスタッグのロングタイプは、焚き火の熱から手を遠ざけつつ、重い薪や大きなさつまいももしっかり掴める安定感があります。
| メーカー | キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) |
|---|---|
| 素材 | 亜鉛めっき鋼板 |
| 全長 | 約450mm |
| 特徴 | 握りやすいグリップ、熱が伝わりにくい長さ、高い耐久性 |
グリップスワニー(Grip Swany) G-1 アウトドアモデル
焚き火作業には、耐熱性と操作性を兼ね備えた革グローブが欠かせません。グリップスワニーは軍隊でも採用されるほど堅牢な牛革を使用しており、熾火の近くで作業しても熱を通しにくく、焼き上がりのチェックも安全に行えます。
| メーカー | グリップスワニー(Grip Swany) |
|---|---|
| 素材 | 牛革(ケブラー糸使用) |
| 耐熱性 | 焚き火・BBQ対応 |
| 特徴 | 驚くほどの耐久性、使い込むほど手に馴染む、補修可能 |
スノーピーク(snow peak) 火かき棒
熾火を平らに均したり、さつまいもの周囲に熱を誘導したりする際に、火かき棒があると作業が劇的にスムーズになります。スノーピークの火かき棒は、絶妙な角度の先端が薪や炭を動かしやすく、焼き芋を灰の中から掘り出す際にも重宝します。
| メーカー | スノーピーク(snow peak) |
|---|---|
| 素材 | スチール(竹集成材グリップ) |
| 全長 | 約520mm |
| 特徴 | 焚火台シリーズに最適化、美しいデザイン、優れた操作性 |
焚き火さつまいもがラクになるおすすめ道具まとめ
焚き火でさつまいもを焼く作業は、便利な道具を揃えることで驚くほどスムーズになります。安全性や効率を高めるだけでなく、仕上がりの質を向上させてくれるアイテムを厳選しました。これらを活用して、キャンプでの焼き芋作りをより本格的に楽しみましょう。
焚き火台+焼き網セット
安定した熾火を作り、さつまいもを適切な距離で配置するには、しっかりとした構造の焚き火台が欠かせません。スノーピークの「焚火台」は、厚みのあるステンレス製で蓄熱性が高く、熾火を長時間キープするのに適しています。別売りのグリルブリッジと焼き網を組み合わせれば、火との距離を数段階で調整できるため、焦げ付きを防ぎながら理想的な加熱が可能です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| 焚火台 L | 頑丈で蓄熱性が高く、熾火の管理がしやすい | スノーピークの公式サイト |
厚手アルミホイル(黒いホイル系)
焼き芋専用に開発された「黒いホイル」は、通常のシルバーのホイルに比べて熱吸収率が非常に高く、短時間で芯まで熱を通すことができます。東洋アルミの「石焼きいも黒ホイル」は、外側が黒く加工されており、遠赤外線効果を最大限に活かしてくれます。厚手で破れにくいため、焚き火の中で薪に当たっても安心です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| 石焼きいも黒ホイル | 黒い表面が熱を効率よく吸収し、甘みを引き出す | 東洋アルミの公式サイト |
焼き芋ローストネット・焼き網シート
さつまいもを焚き火の中に直接置くと、どこに置いたか分からなくなったり、転がって灰だらけになったりすることがあります。ロゴスの「焚き火でちょっと焼き芋ネット」を使えば、複数のさつまいもをまとめて固定でき、ひっくり返す作業も一括で行えます。長いハンドルがついているため、火元から距離を保って安全に扱えるのも魅力です。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| 尾上製作所(ONOE) いもやききやっくんDX | 焚き火やBBQコンロの網の上に置いて使用する、ロングセラーの焼き芋専用オーブン | 尾上製作所の公式サイト |
ダッチオーブンで安定加熱
よりプロに近い仕上がりを目指すなら、ダッチオーブンの中に石を敷いて焼く「石焼きスタイル」がおすすめです。ロッジの「キャンプオーブン」は、重厚な鋳鉄製で熱を優しく均一に伝えてくれます。蓋の上に熾火を置くことで上下から加熱でき、水分を逃さずふっくらと焼き上げることができます。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| キャンプオーブン 10インチ | 鋳鉄の蓄熱性で、中までじっくり熱を通す | ロッジの公式サイト |
火吹き棒で熾火づくりを時短
良い熾火を作るには、適度な空気を送り込んで薪をしっかり燃焼させる必要があります。ベルモントの「焚き火ブロウガン」のような火吹き棒があれば、ピンポイントで空気を送り、火力を自在にコントロールできます。灰を舞い上げずに火を育てることができるため、調理中の火加減調整には欠かせないツールです。
| 商品名 | 特徴 | 公式サイトリンク |
|---|---|---|
| 焚き火ブロウガン | 伸縮式で持ち運びやすく、火力を自在に操れる | ベルモントの公式サイト |
焚き火でさつまいもを焼く手順:準備から食べ頃まで
美味しい焼き芋作りは、火にかける前の「準備」で8割が決まると言っても過言ではありません。洗う工程から、熱を逃さない包み方、そして熾火への配置方法まで、一つひとつの手順を丁寧に行うことが、感動的な甘さを生み出します。ここでは、失敗しないための具体的なステップを詳しく見ていきましょう。
洗い方と水分の残し方のコツ
まずはさつまいもを流水で丁寧に洗います。表面に付いた泥や汚れをしっかり落とすことはもちろんですが、実はこの時に「水分を拭き取らない」ことが重要なポイントです。
洗った直後の滴るような水気が、加熱された時に水蒸気となり、ホイルの中でさつまいもを包み込む「蒸し効果」を生み出します。これにより、パサつきを防ぎ、しっとりとした質感に仕上がります。
また、洗う際に皮を傷つけないよう注意してください。皮が破れると、そこから大事な水分や蜜が逃げ出してしまいます。もし汚れがひどい場合は、柔らかいスポンジで優しく撫でるように洗いましょう。
両端の細い部分は焦げやすいため、少し切り落としておくと火の通りが均一になりますが、基本的には丸ごとの状態で水分をたっぷりと纏わせたまま、次の工程に進むのが理想的です。
包み方の基本:新聞紙とホイルの使い分け
さつまいもを包む際は、まず「濡れた新聞紙」で包み、その上から「アルミホイル」で二重に巻くのが基本のスタイルです。新聞紙を水に浸してビショビショの状態にし、さつまいもを隙間なく包みます。
この濡れた新聞紙が熱の緩衝材となり、急激な温度上昇を防ぎながら水分を保持してくれます。新聞紙がない場合は、厚手のキッチンペーパーでも代用可能です。
その上からアルミホイルで包みますが、ここでも「隙間を作らない」ことが大切です。空気が入ると熱伝導が悪くなるため、さつまいもの形に沿ってピッチリと密着させるように巻いてください。
さらに、ホイルの両端をしっかり捻って密封することで、中の蒸気を逃さず、旨味を凝縮させることができます。ホイルを二重に巻くと、万が一外側のホイルが破れたり、火が強すぎたりした時の保険になるため、初心者の方には特におすすめの方法です。
置き場所は熾火の端が安心
準備が整ったら、いよいよ焚き火の中へ投入します。この時、最も避けたいのは「中央の真っ赤な熾火の中に埋めてしまう」ことです。中心部は温度が高すぎて、新聞紙の水分がすぐに蒸発し、焦げの原因になります。正解は、熾火の山の「端の方」や、熾火から少し離れた「灰が薄く積もっている場所」に置くことです。穏やかな熱が伝わる場所を選ぶのが、甘さを引き出すコツです。
配置した後は、20分に一度くらいのペースで転がして、熱が当たる面を変えてあげましょう。トングを使って優しく扱い、ホイルを破らないよう注意してください。
もし焚き火台に焼き網があるなら、網の上に置いてアルミホイルの蓋やボウルを被せる「オーブン形式」にすると、より温度管理が楽になります。常に「じわじわと温める」ことを意識し、火の勢いが強まったらさつまいもをさらに遠ざけるなど、臨機応変に対応しましょう。
焼けたサインの見分け方と休ませ方
焼き上がりの確認は、軍手や耐熱グローブをした手でさつまいもを軽く押してみることから始めます。生の状態のような硬さがなく、全体が「グニュッ」と柔らかくなっていれば完成が近いです。より確実に確かめるなら、竹串や細い枝を刺してみてください。力を入れずに中心までスッと通れば、中までしっかり火が通っています。
焼き上がった直後にすぐ食べたい気持ちをぐっと堪え、ホイルに包んだまま10分ほど「休ませる」のが、さらに美味しくする秘策です。火から下ろした後も、余熱でゆっくりと加熱が続き、糖化がさらに進みます。
また、休ませることで中の水分が均一に行き渡り、しっとり感がアップします。この「待ち時間」こそが、最高の焼き芋を完成させる最後の調味料です。ホイルを開けた瞬間に立ち上る甘い香りと湯気は、時間をかけた人だけが味わえる至福の報酬です。
焚き火さつまいもをおいしく楽しむためのポイントまとめ
焚き火で作るさつまいもは、ただの「外ごはん」を超えた、キャンプ最高のデザートです。成功のポイントを振り返ると、まずは甘みが強い「べにはるか」などの品種を選び、濡れた新聞紙とホイルで丁寧に包むこと。
そして何より、炎が落ち着いた「熾火」を利用して、1時間近くじっくりと時間をかけて熱を通すことが欠かせません。この「急がない、焦らせない」という姿勢こそが、最高に甘い焼き芋を作るための最大の秘訣です。
便利な道具を活用すれば、火の管理や調理の安全性も格段に向上します。厚手のホイルや焼き芋ネット、耐熱グローブなどは、一度揃えればこれからのキャンプライフで長く活躍してくれるでしょう。
自然の中で火を育て、旬の味覚をじっくりと味わう時間は、心までホクホクに温めてくれます。次のキャンプでは、ぜひ熾火の傍らにさつまいもを忍ばせて、贅沢なひとときを楽しんでみてください。

