焚き火で焼く焼き芋の焼き方|甘さを引き出すいちばん簡単な流れ
キャンプの醍醐味といえば焚き火料理ですが、中でも「焼き芋」は世代を問わず愛される定番メニューです。カヌーで川を下った後の冷えた体に、ホクホクで甘い焼き芋は最高のご褒美になります。しかし、ただ火に放り込むだけでは外が焦げて中が半生になりがちです。失敗を防ぎ、サツマイモの甘みを最大限に引き出すための、もっともシンプルで確実なステップを詳しく解説していきます。
炎ではなく熾火で焼くイメージづくり
焚き火で焼き芋を成功させる最大のコツは、メラメラと立ち上がる「炎」ではなく、薪が燃え尽きて赤く安定した熱を放つ「熾火(おきび)」を利用することです。炎の温度は非常に高く、サツマイモを直接入れてしまうと、内部に熱が伝わる前に表面が炭のように真っ黒に焦げてしまいます。サツマイモに含まれるデンプンが甘い糖に変わるには、70℃前後の温度でじっくりと時間をかけて加熱することが不可欠です。
熾火は遠赤外線効果が高く、食材の芯まで均一に熱を通すのに最適な熱源です。焚き火台の隅に赤々と光る炭状の薪を集め、そこを焼き芋専用の「調理スペース」にするイメージを持ちましょう。炎が落ち着くのを待つ時間は、カヌーの旅の思い出を語り合ったり、静かに火を眺めたりする贅沢なひとときです。この「焦らない時間」こそが、焼き芋を最高に美味しくする隠し味になります。
もし急いでいる場合でも、強い炎の中に投入するのは厳禁です。熾火が足りないときは、新しい薪を足して火を育てるか、炭を併用して安定した熱源を確保しましょう。熾火の柔らかな熱で包み込むように焼くことで、皮は香ばしく、中はしっとりとした理想的な焼き上がりへと導くことができます。
さつまいもは太さをそろえて火の通りを安定
一度に複数の焼き芋を作る場合、サツマイモの「太さ」をそろえて選ぶことが非常に重要です。スーパーや直売所で購入する際、ついつい形や大きさがバラバラなものを選びがちですが、太さが異なると火の通りに時間差が出てしまいます。細い芋がちょうど良く焼けた頃に太い芋はまだ芯が残っていたり、逆に太い芋に合わせると細い芋がミイラのようにカピカピになってしまったりするからです。
直径が4〜5cm程度の、中くらいで均一な太さのものを選ぶのがベストです。このサイズは熱が中心まで届きやすく、かつ水分を保ちながらじっくり焼き上げるのに適しています。カヌーなどの積載が限られるアクティビティでも、サイズがそろっていればパッキングがしやすく、調理の段取りもスムーズになります。
もし、どうしても太さがバラバラなものしかない場合は、太いものを火力の強い熾火の中心に近い場所へ、細いものを火力の弱い外側へ配置するといった調整が必要です。しかし、初心者の方はまず「太さをそろえる」という物理的な工夫から始めるのが、もっとも失敗の少ない道です。サツマイモ選びの段階から、美味しい焼き芋作りは始まっているのです。
ホイルは二重で包み回しながらムラを防ぐ
サツマイモの下準備として、まずは水で綺麗に洗い、泥を落とします。その後、キッチンペーパーを水で濡らしてサツマイモを包み、その上からアルミホイルで巻くのが定番ですが、おすすめはさらに「ホイルを二重にする」ことです。一重だけだと、熾火に直接触れている部分だけが局所的に高温になり、穴が開いたり焦げ付いたりする原因になります。二重にすることで、熱がよりマイルドに伝わり、蒸し焼きのような効果が高まります。
ホイルを巻く際は、隙間がないようにぴっちりと包むのがポイントです。隙間があるとそこから水分が逃げ出し、パサパサの食感になってしまいます。また、焚き火の中に置いた後は、10分〜15分おきにトングで転がし、焼く面を変えてあげましょう。熾火の熱は場所によって微妙に異なるため、定期的に動かすことで加熱ムラを防ぎ、全面を均一に柔らかく仕上げることができます。
この「転がす作業」も焚き火の楽しみの一つです。カヌーで疲れた足を伸ばしながら、芋の様子をうかがう時間は格別です。ホイルが黒ずんできたり、甘い香りが漂い始めたりする変化を感じながら、丁寧に焼き上げていきましょう。
仕上がり確認は竹串と香りで判断する
焼き始めてから30分〜50分ほど経過したら(芋の太さによります)、いよいよ仕上がりの確認です。もっとも確実な方法は、竹串(または細いフォークなど)を刺してみることです。ホイル越しにブスッと刺してみて、力を入れずに「スッ」と中心まで通れば完成です。もし途中で「グニュッ」とした抵抗感がある場合は、まだデンプンが完全に糊化していない証拠なので、あと10分ほど加熱を続けましょう。
もう一つの重要なサインは「香り」です。サツマイモの糖分が加熱され、キャラメルのような濃厚で甘い香りが漂い始めたら、食べごろが近い合図です。カヌーのツアー中、遠くからでもこの香りがしてくると、焚き火の周りに自然と仲間が集まってきます。視覚だけでなく、嗅覚をフルに使って判断するのも、アウトドア調理の醍醐味です。
最後に、耐熱グローブをはめた手で芋を優しく握ってみてください。全体が耳たぶのような柔らかさになっていれば完璧です。焼き上がった芋をすぐに食べるのも良いですが、火から下ろした後に5分ほどホイルに包んだまま放置する「余熱調理」を挟むと、甘みがより落ち着き、さらに美味しくなります。
焚き火焼き芋がラクになるおすすめアイテム8選
焚き火で焼き芋を作る際、道具選びにこだわるだけで成功率は格段に上がります。特に熱の伝わり方をコントロールするアイテムや、安全に作業するためのギアは、キャンプの快適さを左右します。2026年現在のトレンドを踏まえ、焼き芋作りをワンランク上の体験に変えてくれる、おすすめの8アイテムを厳選してご紹介します。
東洋アルミエコープロダクツ「石焼きいも®黒ホイル」
通常の銀色のアルミホイルと違い、片面が黒色に加工された特殊なホイルです。黒は熱を吸収しやすいという性質があるため、熾火の熱を効率よくサツマイモに伝え、通常のホイルよりも短い時間で焼き上げることができます。内部への熱伝導が早いため、外が焦げる前に中までしっかり火が通りやすく、失敗が少ないのが最大のメリットです。
カヌーの休憩時間など、調理時間を短縮したい場面でも非常に重宝します。スーパーやホームセンターで手軽に手に入り、これを使うだけで「いつもの焼き芋が石焼きいものようなクオリティになった」と驚く人も多い名品です。
キャプテンスタッグ「ダッチオーブン セット〈25cm〉UG-3048」
焚き火の中に直接芋を放り込むのが不安な方には、ダッチオーブンを使った調理がおすすめです。キャプテンスタッグのこのセットは、本体に加えてリッドリフターや収納バッグが付いており、初心者でも扱いやすいのが特徴です。厚みのある鋳鉄製の鍋が熱を蓄え、全方向から包み込むように加熱するため、最高にねっとりとした甘い焼き芋が作れます。
鍋の底に小石を敷き、その上に芋を置いて加熱すれば、まさに「石焼きいも」そのものの仕上がりになります。セットの25cmサイズは、数人の仲間とシェアするのにちょうど良い大きさです。
ユニフレーム「UFダッチオーブン 10インチ」
日本の職人技が光る「黒皮鉄板」製のダッチオーブンです。鋳鉄製と異なり、洗剤で洗うことができ、衝撃にも強いため、カヌーの積載などハードな移動が伴うアウトドアシーンに最適です。10インチというサイズは汎用性が高く、焼き芋を5〜6本並べて焼くのに適しています。
黒皮鉄板の熱伝導の良さと、精密な蓋の噛み合わせによって生まれる圧力効果で、サツマイモの芯まで短時間で熱が通ります。錆びにくいお手入れのしやすさも、アクティブなキャンパーに支持される理由です。
スノーピーク「コンボダッチデュオ CS-550」
ソロキャンプや二人でのカヌーツーリングにぴったりな、コンパクトなダッチオーブンセットです。小型のポットやプレートがセットになっており、少量のサツマイモを焼くのに無駄のないサイズ感です。鋳鉄の厚みはしっかり確保されているため、小ぶりな芋を「密閉空間」でじっくり蒸し焼きにするのに適しています。
デザインも非常に美しく、焚き火の脇に置くだけで絵になります。大きな道具を持ち歩きたくないけれど、焼き芋の質にはこだわりたいというミニマリスト派に選ばれているアイテムです。
ベルモント「火ばさみ SUS Hibasami BM-229」
熱い熾火の中から焼き芋を取り出したり、向きを変えたりするのに欠かせないのが「火ばさみ」です。ベルモントのこのモデルは、ステンレス製で錆びにくく、カヌーなどの水辺のアクティビティでも安心して使用できます。先端が波状になっており、アルミホイルに包まれた滑りやすいサツマイモもしっかりとホールドできます。
軽量ながら剛性が高く、大きな薪を動かすパワーと、芋を優しく扱う繊細さを兼ね備えています。道具としての信頼性が高く、長く愛用できる一本です。
Petromax「アラミドプロ300 グローブ」
焚き火調理の安全性に妥協は禁物です。ペトロマックスのこのグローブは、耐熱性に優れたアラミド繊維を使用しており、最大300℃の熱に耐えることができます。熾火の近くで作業したり、焼き上がったばかりのアツアツの焼き芋を手に取ったりする際、この高い断熱性は大きな安心感をもたらします。
革製のグローブに比べてしなやかで、竹串を刺すなどの細かい作業もしやすいのが特徴です。カヌーの装備を運ぶ際や、焚き火の管理全般に活躍する、キャンプの必需品と言えるでしょう。
スノーピーク「焚火台 L ST-032R」
焼き芋の成否は「火床」の安定感で決まります。スノーピークの焚火台Lは、その頑丈さと火のコントロールのしやすさで、多くのキャンパーから絶大な信頼を得ています。逆ピラミッド型の形状は、中心に熾火を溜めやすく、焼き芋を配置するための「安定した熱源」を作りやすいのが魅力です。
オプションのグリルブリッジを使えば、火との距離を細かく調整できるため、芋のサイズや火力の強さに応じた最適な「焼きの空間」を構築できます。広々とした火床は、家族全員の芋を一度に焼くのにも十分なスペースを提供します。
アルファミック「くろ〜いホイル」
東洋アルミのものと同様に、熱吸収率を高めた黒色のアルミホイルです。通常のホイルよりも厚みがあり、破れにくいのが特徴です。焚き火の中で芋を転がす際、薄いホイルだと破れてしまい、そこから砂が入ったり水分が逃げたりすることがありますが、この「くろ〜いホイル」ならその心配を軽減できます。
短時間で効率よく焼ける性能に加え、タフな作りがアウトドアでのハードな使用にマッチします。焼き芋専用として、ストックしておいて損はないアイテムです。
焚き火での焼き時間を外さないコツ|太さ別の目安と失敗回避
焼き芋の最大の難関は「時間」のコントロールです。時計を見るだけでなく、芋の個性や火の状態に合わせて柔軟に対応することが求められます。ここでは、生焼けや焦げといった失敗を未然に防ぎ、ねっとり・ホクホクといった好みの食感に仕上げるための、プロ級のコツを深掘りします。
太い芋と細い芋の時間差をつける考え方
サツマイモの焼き時間は、太さにほぼ比例します。直径3cm程度の細い芋(ちび芋)であれば、熾火の熱で20分〜30分ほどで焼き上がります。一方で、直径6cmを超えるような立派な太い芋になると、40分〜1時間以上かかることも珍しくありません。この時間差を理解していないと、細い芋が真っ黒になった頃に太い芋がまだ固い、という悲劇が起こります。
解決策は、焼き始めのタイミングをずらすか、火力を使い分けることです。カヌーのランチタイムのように時間が限られている場合は、細い芋を選んで手早く焼くのが賢明です。逆に夜の焚き火をゆっくり楽しむなら、太い芋をじっくり1時間かけて育てるのが楽しみになります。焼き時間の目安を「1cmの直径につき10分+α」と自分なりにルール化しておくと、迷いがなくなります。
熾火の作り方と置き場所で火力を整える
「どこに芋を置くか」は、「何分焼くか」と同じくらい重要です。焚き火台の中心部はもっとも火力が強く、ここを定位置にすると焦げやすくなります。理想的なのは、焚き火台の隅に熾火を集め、その脇に芋を置く「遠火の強火」状態です。あるいは、灰を少し被せて熱を閉じ込める「蒸し焼きエリア」を作るのも有効です。
特に、熾火が白っぽく灰を被り始めた状態は、温度が安定しており焼き芋には最適です。逆に、まだ薪から青白い炎が出ているような新しい熾火は、ガスが含まれていて温度変化が激しいため、芋を置くのは避けましょう。火を「育てる」段階と「使う」段階を分けることが、プロっぽい焼き芋作りの秘訣です。
生焼け・焦げの原因をその場で切り分ける
もし竹串を刺してみて固かったら、焦らずに「なぜか」を考えましょう。表面が焦げているのに中が固い場合は、火力が強すぎます。その場合は、芋を火から少し遠ざけ、ホイルの上からさらに新しいホイルを巻いて断熱し、じっくり弱火で再加熱します。逆に表面も綺麗なのに中が固い場合は、単なる時間不足です。熾火を追加して、もうしばらく様子を見ましょう。
生焼けの原因の多くは「焦りを恐れて早く出しすぎる」か「火が消えかかっていることに気づかない」のどちらかです。熾火の赤みが消えていないかこまめにチェックし、必要に応じて周囲をうちわで仰いで酸素を送り、火力を維持しましょう。失敗をその場でリカバリーできる柔軟性が、キャンプ料理を楽しくします。
ねっとり派とほくほく派の焼き分けポイント
焼き芋の食感は、芋の「品種」と「焼き方」の組み合わせで決まります。
「ねっとり・甘い」が好みなら、紅はるかや安納芋を選び、低めの温度で1時間以上かけてじっくり焼くのがコツです。糖化が進む70℃付近の時間を長く取ることで、蜜が溢れ出すような仕上がりになります。
「ほくほく・昔ながら」が好みなら、紅あずまや鳴門金時を選び、中温〜高温で比較的短時間(30〜40分)で一気に焼き上げましょう。水分が適度に飛び、栗のような食感が楽しめます。カヌーを漕いで疲れた時はねっとり系で糖分補給、朝食にはほくほく系で軽やかに。その日の気分で品種と焼き方をコントロールできるようになったら、あなたはもう焼き芋マスターです。
焚き火で焼き芋をおいしく焼くための要点まとめ
焚き火での焼き芋作りを成功させるポイントを振り返りましょう。
- 「炎」ではなく「熾火」を使う: 焦がさず芯まで熱を通す基本のルールです。
- 「保護」を徹底する: 水に濡らしたペーパーとホイルの二重包みが、水分と甘みを守ります。
- 「時間」と「太さ」を意識する: 自分の選んだ芋が何分必要か、竹串テストで最終確認を忘れずに。
- 「道具」を味方につける: 黒ホイルやダッチオーブンを使えば、さらにラクに、美味しくなります。
カヌーの旅の終わりに、焚き火の温もりとともに楽しむ黄金色の焼き芋。その甘みは、厳しい自然の中で過ごした時間の最高の締めくくりになります。今回ご紹介したコツとアイテムを参考に、ぜひ次のキャンプで「今までで一番美味しい」焼き芋に挑戦してみてください。
次はどんな秋の味覚を焚き火で楽しみたいですか?
よろしければ、「焼き芋と一緒に作りたい、焚き火で焼くリンゴのデザートレシピ」や、「余った焼き芋を翌朝のホットサンドに変えるアレンジ術」についても詳しくお調べしましょうか?“`

