料理のレパートリーを広げ、食卓を楽しく彩ってくれるマルチグリル。焼く、蒸す、煮るといった多彩な調理がこれ一台で完結するため、キッチンをすっきりさせたい方や、パーティーシーンを盛り上げたい方に非常に人気があります。しかし、製品によって得意な調理法やお手入れのしやすさが大きく異なるため、自分のライフスタイルに最適な一台を選ぶことが重要です。まずは、失敗しないための選び方の軸を確認しましょう。
マルチグリルのおすすめは「作りたい料理」で決めるのがいちばん早い
マルチグリルを選ぶ際に最も重要なのは、具体的な活用シーンをイメージすることです。週末に家族で焼肉を楽しみたいのか、それとも平日の朝食やお弁当作りで手軽に活用したいのかによって、優先すべきスペックが変わります。「多機能」という言葉だけに惹かれるのではなく、自分が最も頻繁に行う調理工程に強いモデルを選ぶことが、満足度を高める最短ルートとなります。
焼く中心なら火力とプレート素材を重視する
ステーキや焼肉、焼き魚など「焼く」調理をメインにする場合は、火力の強さとプレートの熱伝導性が最も重要になります。火力が弱いと食材の表面が焼ける前に中の水分が逃げてしまい、パサついた仕上がりになってしまいます。目安としては、消費電力が1200Wから1400W程度のハイパワーモデルを選ぶと、厚手の肉でもジューシーに焼き上げることができます。また、ヒーターとプレートが一体化しているタイプは熱の伝わりが早く、焼きムラを抑える効果があります。
プレートの素材については、こびりつきにくいフッ素加工が一般的ですが、その耐久性にも注目してください。最近では、セラミックコーティングを施したモデルも増えており、遠赤外線効果で食材の芯までじっくり火を通せるのが魅力です。また、プレートの表面形状も重要です。溝が深い「波型プレート」は、余分な油を落としてヘルシーに焼き上げることができるため、健康志向の方や本格的なグリル料理を楽しみたい方に適しています。逆に、パンケーキや卵料理を美しく仕上げたい場合は、フラットな面が広いタイプが使いやすいでしょう。
蒸す・煮るもやるなら深さとフタの作りを見る
マルチグリルの利便性を最大限に活かして、パエリアやアクアパッツァ、すき焼きといった「煮る・蒸す」調理も楽しみたいのであれば、プレートの「深さ」を必ずチェックしてください。深さが4cm以上あるモデルであれば、汁気の多い料理でもこぼれる心配がなく、パスタを茹でるような工程もこなせます。深型プレートが付属しているモデルは、文字通り「一台で何役もこなす」万能調理器としてキッチンで大活躍してくれます。
さらに、このタイプの調理で欠かせないのが「フタ」の作りです。蒸し料理をふっくら仕上げるためには、気密性が高く、適度な高さのあるフタが必要です。高さのあるフタであれば、肉の塊を丸ごと蒸し焼きにしたり、ボリュームのある野菜料理を作ったりする際も食材がフタに当たりません。また、中の様子が見えるガラス窓付きのフタであれば、調理の進み具合を一目で確認できるため、加熱しすぎを防ぐことができて非常に便利です。フタの重みもしっかりあるものを選ぶと、蒸気が逃げにくく、素材の旨味を凝縮した仕上がりになります。
片付けの楽さは「分解できるか」で差が出る
マルチグリルを長く使い続けられるかどうかは、調理後の「お手入れのしやすさ」に直結します。どんなに高性能で料理が美味しく作れても、パーツが細かすぎたり、油汚れが落ちにくかったりすると、次第に使うのが億劫になってしまいます。選ぶ際には、汚れる部分をどこまで細かく分解して洗えるかを確認しましょう。理想的なのは、ヒーター部分を除いたプレート、フタ、さらには油受けトレイがすべて取り外せ、丸洗いできる設計のものです。
特に、焼肉などの油跳ねが多い調理の後は、本体の内側まで汚れることが多いため、パーツが簡単に外せる構造は必須です。最近では、食洗機に対応したプレートを採用しているモデルもあり、後片付けの手間を劇的に減らすことができます。また、油を落とすための穴が開いたプレートを使用する場合、その下の「油受けトレイ」の出し入れがスムーズかどうかも重要なポイントです。トレイに水を入れて使用するタイプは、煙の発生を抑える効果もありますが、洗う際の手間も考慮して、自分が継続して手入れできる構造のものを選びましょう。
失敗しやすいのはサイズ感だけで選ぶパターン
「大は小を兼ねる」と考えて、漠然と大きなサイズを選んでしまうのは、マルチグリル選びでよくある失敗パターンの一つです。大きなプレートは一度にたくさんの料理を作れて便利ですが、その分、収納場所を確保しなければなりません。出し入れが大変な場所にしまい込んでしまうと、使う回数が減る原因になります。また、大きなモデルは消費電力も高くなるため、ご家庭のコンセントの容量やブレーカーの制限に注意が必要です。
逆に、一人暮らしだからと極端に小さなモデルを選びすぎると、食材をひっくり返すスペースがなかったり、友人が来た時に対応できなかったりと、実用性に欠けることがあります。選ぶ際は、普段の食事の人数プラス1人分程度の余裕を持たせたサイズを基準にするのがおすすめです。また、製品の外形寸法だけでなく、実際に調理できる「プレートの面積」を確認することが大切です。テーブルの上に置いたときに、お皿やコップを並べるスペースが十分に残るかどうかも、楽しい食事の時間を守るための重要な視点です。
用途で選ぶマルチグリルのおすすめモデル
ここからは、2026年現在も高い評価を得ている、用途別に最適なマルチグリルの代表的なモデルをご紹介します。それぞれの特徴を比較して、あなたのキッチンにぴったりの一台を見つけてください。
BRAUN マルチグリル7(CG7011 など)
パワフルな火力と洗練されたデザインが特徴のモデルです。上下のプレートで食材を挟んで焼く「コンタクトグリル」としても使用でき、ステーキを裏返さずに短時間でジューシーに焼き上げることが可能です。
| 項目 | スペック・特徴 |
|---|---|
| 最大出力 | 1460W |
| 特徴 | 上下加熱で時短調理、プレート丸洗い可能 |
| 公式サイト | デロンギ・ジャパン(BRAUN)公式サイト |
Cuisinart マルチグルメプレート(GR-5J)
サンドイッチから本格グリルまでこなす、2面のプレートを活用できるモデルです。180度開いて2面のホットプレートとして使うこともでき、朝食の同時調理などにも非常に便利です。
| 項目 | スペック・特徴 |
|---|---|
| 最大出力 | 1200W |
| 特徴 | 両面使いが可能、波型・平型の2種類のプレート付属 |
| 公式サイト | クイジナート公式サイト |
象印 ホットプレート「やきやき」(EA-KJ30 など)
日本の食卓を知り尽くした象印の定番モデルです。深型プレート、穴あき焼肉プレート、たこ焼きプレートと付属品が充実しており、家族でのパーティーに最適です。
| 項目 | スペック・特徴 |
|---|---|
| 最大出力 | 1300W |
| 特徴 | 丈夫で長持ちするコーティング、収納のしやすさ |
| 公式サイト | 象印マホービン公式サイト |
アイリスオーヤマ 網焼き風ホットプレート(IHA-A30)
コストパフォーマンスの高さと実用的な機能が魅力です。余分な脂を水受け皿に落とす構造で、煙を抑えつつヘルシーに焼き上げることができます。
| 項目 | スペック・特徴 |
|---|---|
| 最大出力 | 1300W |
| 特徴 | 煙の発生を抑える水受け皿、リーズナブルな価格 |
| 公式サイト | アイリスオーヤマ公式サイト |
パナソニック ロティサリーグリル&スモーク(NB-RDX100)
本格的な肉料理を楽しみたい方向けの多機能モデルです。肉を回転させながら焼く「ロティサリー」機能や、自宅で手軽に燻製ができるスモーク機能など、こだわりの調理が可能です。
| 項目 | スペック・特徴 |
|---|---|
| 最大出力 | 1350W |
| 特徴 | かたまり肉の回転焼き、燻製機能搭載 |
| 公式サイト | パナソニック公式サイト |
アラジン グラファイトミニグリラー
特許技術「遠赤グラファイト」を搭載し、わずか0.2秒で発熱する驚異の立ち上がりが特徴です。輻射熱を利用して焼くため、煙が出にくく、室内での焼肉に非常に適しています。
| 項目 | スペック・特徴 |
|---|---|
| 最大出力 | 750W |
| 特徴 | 立ち上がりが早い、煙を大幅に軽減 |
| 公式サイト | アラジン公式サイト |
使いやすさで差がつくチェックポイントと選び方
おすすめモデルを確認した後は、細かいスペックの背後にある「実際の使い心地」に注目しましょう。スペック表に載っている数字以上に、日常のちょっとした操作感や安全機能が、グリルを使う楽しさを左右します。特に以下の4つの視点は、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐために非常に有効です。
何人分を想定するかで「必要容量」が決まる
マルチグリルのサイズ選びは、家族構成だけでなく「食べる量」にも左右されます。例えば大人2人と小さなお子様1人の3人家族なら、中型サイズ(A4サイズより一回り大きい程度)で十分ですが、食べ盛りの子供がいる場合は、迷わず大型サイズを選んだほうが一度に調理できる量が増え、家族全員で温かい料理を同時に楽しめます。
逆に、夜食やおつまみ作りがメインのソロ・デュオ使いであれば、コンパクトなサイズの方が机の上を広く使え、準備も後片付けも軽快に行えます。また、一人用でも少し深さがあるタイプを選んでおけば、小鍋のような使い方もできるため重宝します。収納場所の寸法を測る際には、本体だけでなく「コードの取り回し」や「フタの厚み」も考慮に入れておくと、収納の失敗を避けられます。
温度調節の幅と立ち上がりでストレスが変わる
料理の仕上がりを左右するのが、細かい温度調節機能です。低温(80度前後)から高温(250度前後)まで細かく設定できるモデルは、クレープのような繊細な料理から、表面をカリッと焼くステーキまで幅広く対応できます。スライド式やダイヤル式など、直感的に操作できるものを選ぶと、調理中の忙しい時でもスムーズに火加減を調節できます。
また、意外と見落としがちなのが「予熱にかかる時間」です。発熱体がプレートに密着しているタイプや、特殊なヒーターを採用しているモデルは立ち上がりが早く、お腹が空いている時でもすぐに調理を開始できます。逆に立ち上がりが遅いと、調理時間が長引き、家族を待たせてしまうことになります。忙しい平日の夕食作りなどでも活用したい場合は、立ち上がりのスピードについても口コミや仕様を確認しておきましょう。
プレートの取り外しと洗いやすさで継続性が決まる
前述の通り、お手入れのしやすさは継続利用の生命線です。プレートを取り外す際のロック機構がスムーズか、プレート自体が重すぎないかは、実際に手に取ってみないと分かりにくいポイントです。フッ素加工が施されているのは今や当然ですが、その表面が「セラミック加工」や「ダイヤモンドコーティング」など、より傷に強く汚れが落ちやすい工夫がなされているものを選ぶと、数年使っても焦げ付きにくさが持続します。
また、本体の「隙間」の少なさにも注目してください。プレートの隙間から食材のカスや油がヒーター周辺に落ちてしまうと、掃除が非常に困難になります。ガードがしっかり付いているものや、本体の縁に汚れが溜まりにくい構造になっているものは、拭き掃除だけで綺麗に保てます。パーツをすべて外した後に、本体内部が平坦で拭きやすいかどうかを確認することも、清潔に使い続けるためのコツです。
煙・ニオイ対策と安全機能は見落としやすい
室内でグリルを使用する際に最大の悩みとなるのが「煙とニオイ」です。油が熱源に直接当たらない構造や、ファンで煙を吸い込む吸煙機能を備えたモデルは、リビングでの焼肉をより快適にしてくれます。特に賃貸マンションなどで壁紙へのニオイ移りを気にする場合は、減煙機能に特化したモデル(アラジンのグリラーやアイリスオーヤマの網焼き風など)を優先して選ぶと良いでしょう。
安全機能についても、決して妥協してはいけないポイントです。マグネット式の電源コードは、万が一足を引っ掛けてもすぐに外れるため、本体が転倒して火傷をするリスクを減らせます。また、プレートが正しくセットされていないと通電しない「安全設計」や、一定温度以上になると自動でヒーターが切れる「サーモスタット機能」は、安心して調理を楽しむために必須の機能です。家族全員で使うものだからこそ、安全性がしっかりと担保されているブランド品を選ぶのが賢明です。
マルチグリルは「料理の幅」と「手入れのしやすさ」で満足度が決まる
マルチグリル選びの旅は、自分や家族の笑顔が溢れる食卓を想像することから始まります。高機能なモデルほど魅力的に見えますが、最終的には「作りたい料理が美味しく作れるか」と「後片付けが負担にならないか」の2点に集約されます。今回ご紹介した選び方のポイントやおすすめモデルを参考に、あなたのライフスタイルに寄り添い、長く愛用できる最高の一台を見つけ出してください。毎日の食事が、もっと便利で、もっと楽しい時間に変わるはずです。

