キャンプでの火起こしやバーナーへの着火に欠かせないSOTOのスライドガストーチ。繰り返し使える経済的な道具ですが、「いざガスを入れようとしても上手く入らない」「漏れてしまう」という悩みを抱える方も多いようです。実は、ガス充填にはちょっとしたコツと正しい手順があります。今回は、お気に入りのトーチを長く安全に使い続けるために知っておきたい、ガスの充填術と注意点について詳しく解説します。
SOTOのスライドガストーチの充填は「ライター用ガス+冷却+垂直」で安定する
スライドガストーチの充填をスムーズに行うためには、適切な道具選びと物理的な環境を整えることが重要です。ただガス缶を押し当てるだけでは、気圧の関係でガスが逆流したり、周囲に漏れ出したりしてしまいます。基本となるのは「ライター用ガスを使うこと」「温度差を利用すること」「完璧に垂直に押し込むこと」の3点です。これらを意識するだけで、充填の失敗は驚くほど少なくなります。
充填に向くガスはライター用ブタン系が中心
SOTOのスライドガストーチは、カセットガス(CB缶)からも充填可能ですが、メーカーがより推奨しているのは不純物が少なく燃焼が安定した「ライター用ガス」です。CB缶のガスは調理向けに調整されているため、特に冬場などは気化しにくく、トーチのような精密な火口では火付きが悪くなることがあります。
一方、ライター専用として売られているガスボンベは、高純度のブタンガスが主成分となっており、ノズル形状も充填バルブに適合しやすいように設計されています。火力の安定性や内部の詰まり防止を考えるのであれば、ライター用ガスを選ぶのが最も安心です。また、100円ショップなどで売られている安価なガスよりも、信頼できるメーカーのガスを使用したほうが、点火不良のリスクを抑えられます。
本体とガス缶を冷やすと入りやすくなる
ガスが入らない最大の原因は、トーチ本体内部の圧力とガス缶の圧力のバランスにあります。ガスは温度が高い方から低い方へ流れる性質があるため、本体が温まっている状態では、ガス缶からの流入が妨げられてしまいます。
裏技として、充填前にトーチ本体を数分間冷蔵庫に入れるか、冷たい水にさらして(内部を濡らさないよう注意)冷やすと、内部の圧力が下がってスムーズにガスが吸い込まれるようになります。逆に、ガス缶側は手で包んで少し温める程度にすると、缶内の圧力が高まり、より勢いよく充填できます。この「温度差」を作る工夫は、特に中身が入りにくくなった古い個体などで絶大な効果を発揮します。
充填バルブの向きと押し込み方で漏れが減る
充填時に「シュー」とガスが漏れてしまうのは、ノズルとバルブが正しく密着していない証拠です。充填する際は、必ずトーチを逆さまにし、ガス缶も逆さまにした状態で、両方を地面に対して完全に「垂直」に保つようにしてください。少しでも斜めになると、隙間から液化ガスが漏れ出し、火傷の原因にもなります。
押し込む際は、迷わずにグッと垂直に力を入れ、2〜3秒間押し続けます。これを数回繰り返すと、窓からガスが溜まっていくのが確認できるはずです。もし音がしても窓のガスが増えていない場合は、一度離して角度を微調整してください。バルブを傷めないよう、過度な力ではなく「密着させる力」を意識するのがコツです。
連続使用と直後の再充填は避けると安全
トーチを使い切った直後や、長く火を出した後は、本体が熱を持っています。この状態で充填を行うと、急激な気化によってガスが噴き出す恐れがあり非常に危険です。必ず本体が十分に冷めたことを確認してから作業を行ってください。
また、充填が終わった直後にすぐ点火するのも避けましょう。充填直後はガスが不安定な状態で、火力が異常に大きくなったり、逆に火がつかなかったりすることがあります。充填後は数分間放置して、中のガスの温度が周囲と馴染むのを待ってから使用するのが、安全かつ確実な使い方です。
充填しやすいSOTO系トーチと相性が良いライターガスおすすめ
使い勝手の良いトーチ本体と、充填時に漏れにくく相性の良いガスボンベをまとめました。
SOTO スライドガストーチ ST-487
火口が伸びる定番モデル。2023年にモデルチェンジし、耐久性と操作性が向上しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 火口が最大75mm伸び、着火時に手が熱くない |
| 燃料 | CB缶、ライターガスの両方に対応 |
| 公式サイト | SOTO ST-487 |
SOTO マイクロトーチ ACTIVE ST-486
手のひらサイズのコンパクトモデル。火口が斜めになっており、細かい場所への着火に便利です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 持ち運びに特化したサイズ。火力を守る大型キャップ付き |
| 燃料 | 底面のバルブから簡単に充填可能 |
| 公式サイト | SOTO ST-486 |
プリンス スーパーガスボンベ(ライター用ガス)
ガス器具の老舗メーカーが提供する、非常に純度の高いライター用ガスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | ノズルの精度が高く、SOTOのバルブとも相性が良い |
| メリット | 燃焼効率が良く、冬場でも安定した火力が得られる |
| 公式サイト | スタイル株式会社(プリンス) |
東京パイプ ライター用ガスボンベ 120g
コストパフォーマンスに優れ、どこでも手に入りやすい大容量のガスボンベです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 多様なライターに対応する共用アダプターが付属 |
| 容量 | 120gとたっぷり入っており、頻繁に使うキャンパー向け |
| 公式サイト | 東京パイプ株式会社 |
東海(TOKAI)ライター用ガスボンベ
チャッカマンで知られる東海のガスボンベ。安定した品質で安心して使えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 不純物を徹底的に取り除いたクリーンなガス |
| 安全性 | 国内メーカーならではの信頼感があり、詰まりにくい |
| 公式サイト | 株式会社東海 |
充填できない・すぐ消えるを解決する手順と注意点
正しく手順を踏んでいるつもりでも、トラブルが起きることはあります。そんな時に役立つ具体的な解決策を紹介します。
充填前に残圧を抜くと入りが改善することがある
何度押し込んでもガスが入っていかない場合、トーチ内部に古いガスや空気が溜まり、内圧が高くなりすぎている可能性があります。この状態を「エア噛み」と呼びます。
対策として、充填前に細い棒(精密ドライバーの先端など)を使って、トーチ底面のバルブを軽く押し、「シュッ」と残っている圧を逃がしてください。中の空気を少し抜いてやるだけで、ガス缶からの流入が劇的に改善します。ただし、勢いよくガスが噴き出すことがあるため、必ず火気のない屋外で、顔を近づけずに行ってください。
ノズルの規格違いはアダプターで合わせる
稀にガス缶のノズルが細すぎたり短すぎたりして、トーチのバルブに届かないことがあります。特に古いガス缶や海外製の缶を使う場合に起こりやすい問題です。
多くのライター用ガスボンベには、蓋の裏に数種類のアダプターが付属しています。これを使ってノズルの径を調整することで、ピッタリと密着させることができます。もしアダプターがない場合は、無理に押し込まず、SOTO製品に適合することが確認されているガス缶に買い替えるのが最も安全な解決策です。
漏れるときは角度と押し込み圧を見直す
「ガスは入っているようだが、漏れる量が多い」という場合は、押し込む力が足りないか、角度が微妙にズレています。充填は「静かに」ではなく「一気に力強く」が基本です。
バルブとノズルがしっかり噛み合う感覚を指先で確認しながら、真上から全体重をかけるくらいの気持ちで垂直に押し込んでください。一度コツを掴めば、ガスを一切漏らさずに満タンにできるようになります。周囲が白く凍りつくような漏れ方は危険ですので、一度中断して、ノズルの中心とバルブの中心が合っているか再確認しましょう。
火が弱いときはガス量とエア混入を疑う
ガスを入れたのに火が小さい、あるいはすぐに消えてしまう場合は、混合気(ガスと空気)のバランスが崩れているか、ガス量が不十分です。
まずは火力を調整するダイヤルが最小になっていないか確認してください。それでも改善しない場合は、一度全てのガスを抜いてから、前述の「冷却」を行って再充填してみてください。また、ガスを入れすぎても逆に点火しにくくなる「オーバーフロー」という現象も起きます。窓の8割程度を目安に充填し、しばらく置いてから使うのが、安定した火力を得るためのポイントです。
充填で失敗を減らして安全に使い続けるための要点
SOTOのスライドガストーチは、正しい充填方法をマスターすれば何年も使い続けられる素晴らしい道具です。専用のライター用ガスを選び、本体を冷やして垂直に押し込む。この一連の流れをルーティンにするだけで、キャンプ場での「火がつかない」というストレスから解放されます。
また、充填作業は必ず換気の良い屋外で行い、火の気がないことを確認する習慣をつけてください。道具を大切に扱い、正しくメンテナンスすることで、あなたのキャンプライフの「火」はより確実で心強いものになるはずです。お気に入りのトーチを完璧な状態に保ち、次のフィールドへ連れ出しましょう。

