キャンプの定番である焼き芋ですが、焚き火台を正しく使えば専門店のような極上の甘さを引き出すことができます。しかし、強すぎる火で焼いてしまうと外側だけが焦げて中が硬いままといった失敗も起こりがちです。最高に甘い焼き芋を作るためには、薪が燃え尽きる直前の「熾火」という安定した熱源を利用し、芋と火の距離を適切に保つことが欠かせません。この記事では、焚き火台を使った失敗しない焼き芋の作り方をご紹介します。
焚き火台で焼き芋を甘く仕上げるコツは「熾火」と「距離」
焚き火で焼き芋を作る際、最も避けるべきなのは高く上がった「炎」の中に芋を放り込むことです。さつまいもに含まれるデンプンが甘い「麦芽糖」に変わるには、約60度から70度の温度帯をじっくりと時間をかけて通過させる必要があります。この温度を長時間キープするために最適なのが熾火です。炎が出ている状態では温度が1000度近くに達することもあり、これでは糖化が進む前に表面が炭になってしまいます。
炎を落ち着かせて熾火中心にするコツ
熾火(おきび)とは、薪や炭が炎を上げずに赤く熱せられた状態を指します。この状態は遠赤外線が非常に強く、食材の芯まで均一に熱を通すのに適しています。熾火を作るコツは、まず太い薪をしっかりと燃やしきることです。焚き火の開始直後は炎が激しく上がりますが、そこを我慢して薪が自重で崩れ、表面が白っぽい灰に覆われつつも芯が真っ赤に光る状態になるまで待ちます。
熾火を効率よく作るためには、薪を組む際に「井桁型」など空気の通りが良い形にし、一気に高温まで上げてから放置するのが近道です。薪が崩れてきたら、焚き火台の底に平らにならします。このとき、炭同士が密着している場所は温度が高く、離れている場所は低くなるため、芋を置くスペースに合わせて炭の密度を調整してください。炎が出ていないからといって熱が弱いわけではなく、むしろ食材を芯から温めるエネルギーは炎よりも強力であることを意識しましょう。
新聞紙やキッチンペーパーで蒸し焼きにする包み方
焼き芋をパサつかせず、ねっとりとした食感に仕上げるためには「湿度」の管理が重要です。さつまいもを水洗いした後、水気を拭き取らずに濡れたままの新聞紙やキッチンペーパーでぐるぐると包んでください。この水分が加熱されることで芋が蒸され、内部がふっくらと仕上がります。新聞紙を使う場合は、インクが芋に移らないようキッチンペーパーを内側に使うとより衛生的です。
その上からアルミホイルで二重に包みます。アルミホイルは隙間がないようにぴっちりと巻くのがコツです。隙間があると、そこから水蒸気が逃げてしまい、乾燥してパサパサの原因になります。二重に巻く理由は、万が一ホイルが破れた際に灰が中に入るのを防ぐためと、熱が急激に伝わりすぎるのを防ぐ緩衝材の役割を果たすためです。このように「濡れた紙+二重ホイル」というバリアを作ることで、さつまいも自身の水分を閉じ込めたまま、理想的な蒸し焼き状態を維持できます。
焚き火台の端でじっくり火を入れる置き場所
焚き火台の上でのポジショニングが、味の決め手となります。熾火が最も集中している中央部は熱すぎるため、芋を置くのは焚き火台の「端」や「火が少し弱まっている場所」が最適です。もし焚き火台に灰が溜まっているなら、その灰の中に芋を埋めるように置くのが最高の方法です。灰は断熱材のような役割を果たし、熱をマイルドに伝えてくれるため、焦げのリスクを最小限に抑えられます。
理想的なのは、直接炭に触れさせず、炭から5センチほど離れた場所や、灰の層の上です。また、焚き火台の種類によっては、炭床の下にスペースがある場合がありますが、そこも「オーブン」のような環境になるため、ゆっくりと熱を通すのに適しています。常に「低温で長く」を意識し、焚き火のメインの火とは少し距離を置いたサブのエリアで調理する感覚を持つと、失敗が激減します。
焼き時間の目安と焼けたか確認する方法
焼き時間は、さつまいもの太さや外気温にもよりますが、おおよそ40分から60分程度を見込んでおきましょう。早く食べたい気持ちを抑えて、じっくりと待つことが甘さを引き出す唯一の方法です。途中で一度、芋の向きを上下左右に入れ替えると、焼きムラを防ぐことができます。30分を過ぎたあたりで、トングや耐熱グローブを使って芋の状態をチェックし始めます。
確認方法は、まずアルミホイル越しに指で軽く押してみることです。全体が柔らかくなり、指が少し沈み込むような感触があれば完成間近です。さらに確実なのは、竹串や細い枝を刺してみることです。力を入れなくてもスッと抵抗なく中心まで通れば、芯まで火が通っている証拠です。もし「グニュッ」という手応えがあったり、途中で止まってしまったりする場合は、まだデンプンの分解が終わっていないため、あと10分から15分ほど追加で加熱しましょう。
焚き火台で焼き芋が作りやすいおすすめアイテム7選
焼き芋を成功させるには、火加減をコントロールしやすい焚き火台や、便利な周辺道具を選ぶことも大切です。ここでは評価の高い定番アイテムをご紹介します。
スノーピーク 焚火台
頑丈さと安定感で知られる、焚き火台のスタンダードモデルです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | ステンレス |
| 特徴 | 逆四角錐の形状で熾火を中央に集めやすい |
| メリット | 灰が底に溜まるため、灰の中で芋を蒸し焼きにしやすい |
| 公式サイト | Snow Peak 焚火台 |
スノーピークの焚火台は、オプションの炭床を使用することで、適度な高さに熾火を維持できます。逆四角錐の壁面が熱を反射し、芋を四方から温めてくれるリフレクターのような役割を果たします。非常にタフな作りなので、長時間火を絶やさずに熾火を作り続けるような本格的な焼き芋作りに最適です。
ユニフレーム ファイアグリル
コストパフォーマンスと使い勝手の良さで不動の人気を誇る焚き火台です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | ステンレス鋼(炉)、鉄・クロームメッキ(網) |
| 特徴 | 四隅の隙間から空気が入るため燃焼効率が良い |
| メリット | 炉がフラットに広いため、多くの芋を並べやすい |
| 公式サイト | UNIFLAME ファイアグリル |
ファイアグリルは底面が広く平らなため、熾火を薄く広く広げることができます。これにより、熱源からの距離を調整しやすく、複数の芋を同時に焼くグループキャンプでも活躍します。炉の四隅から空気が入るため、放置していても火が消えにくく、安定した熾火を維持しやすいのが特徴です。
ロゴス the ピラミッドTAKIBI
多機能なゴトクが標準装備された、調理が得意な焚き火台です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | ステンレス、スチール |
| 特徴 | 串焼きプレートやゴトクがセットになっている |
| メリット | 薪を組むスペースが深く、効率的に熱を溜められる |
| 公式サイト | LOGOS the ピラミッドTAKIBI |
ピラミッド状の構造は、薪が燃えて崩れると自然に中央に熾火が集まる仕組みになっています。付属のゴトクを使えば、網の上に芋を置いて「遠火の強火」で焼くといった高度な調整も可能です。組み立ても簡単で、家族で手軽に焼き芋を楽しみたい方に適しています。
コールマン ファイアーディスク
円盤状の美しいデザインで、初心者でも扱いやすい焚き火台です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | ステンレス |
| 特徴 | 遮るものがない開放的なデザインで、大きな薪も置ける |
| メリット | 灰を捨てやすく、熾火の状態を確認しやすい |
| 公式サイト | Coleman ファイアーディスク |
直径45cmの広いスペースは、火が強いエリアと弱いエリアを明確に分けることができます。円形の縁に沿って芋を並べれば、中央で焚き火を楽しみながら、端でじっくり焼き芋を調理するという同時進行が容易です。非常に通気性が良いため、質の良い熾火が作りやすいのも魅力です。
TokyoCamp 焚き火台
ソロキャンパーから絶大な支持を受ける、軽量コンパクトな焚き火台です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | ステンレス |
| 特徴 | A4サイズに収納可能。大きな薪も載せられる強度。 |
| メリット | 燃焼効率が高く、短時間で熾火の状態に持っていける |
| 公式サイト | TokyoCamp 焚き火台 |
コンパクトながら大きな薪をそのまま載せられるため、太い薪を燃やしてしっかりとした熾火を作ることができます。ソロや少人数でのキャンプで、一人一つの焼き芋をじっくり楽しむのにちょうど良いサイズ感です。パーツがシンプルなので、使い終わった後の掃除も簡単です。
キャプテンスタッグ ヘキサステンレス ファイアグリル
六角形の形状が特徴的な、大人数にも対応可能な大型の焚き火台です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | ステンレス鋼 |
| 特徴 | 深さのある構造で、大量の熾火を溜め込むことができる |
| メリット | 焚き火とBBQを同時に行える多用途性 |
| 公式サイト | CAPTAIN STAG ヘキサステンレス |
深さがしっかりとあるため、風の影響を受けにくく、庫内の温度を一定に保ちやすい構造です。底に溜まった熾火の上に網を載せ、その上に芋を置けば、理想的な遠赤外線調理が可能です。安定感があり、大きなさつまいもを焼く際も安心感があります。
キャプテンスタッグ 石焼きいも鍋
焚き火台の上で「石焼きいも」を再現できる、専用の鍋です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 素材 | 本体:エナメル加工鋼板、石:天然石 |
| 特徴 | 付属の石を敷き詰め、その上に芋を置いて加熱する |
| メリット | 石の蓄熱効果で、より専門店に近い味を再現できる |
| 公式サイト | CAPTAIN STAG 石焼きいも鍋 |
焚き火台の上に直接この鍋を置いて使用します。石が発する遠赤外線が芋を包み込み、アルミホイルだけでは難しい「皮の香ばしさ」と「中身の甘さ」の両立を実現します。煙や灰が芋に直接つく心配もないため、キャンプでもきれいな状態で焼き芋を楽しみたい方におすすめです。
焚き火台で焼き芋を失敗しない手順と時間の目安
焼き芋の仕上がりは、芋の品種選びから始まっています。最近はねっとり系の「安納芋」や「紅はるか」、ホクホク系の「鳴門金時」など多様な品種がありますが、どれも基本の手順は同じです。大切なのは、芋の「太さ」に合わせた火入れの調整です。
さつまいもの太さ別に火入れ時間を調整する考え方
さつまいもは、その太さによって火が通るスピードが全く異なります。スーパーで一般的に売られている「Mサイズ(直径4〜5cm程度)」の場合、熾火での加熱時間は40〜50分が標準です。これより細い芋であれば30分程度で焼けることもありますが、あまりに細すぎると水分が飛びやすくパサつく原因になります。
逆に、ラグビーボールのような「極太サイズ」の場合は、1時間を超える長期戦を覚悟しましょう。太い芋は中心まで熱が届くのに時間がかかるため、火加減をさらに弱めに設定し、じわじわと攻める必要があります。キャンプでの焼き芋には、火の通りが読みやすく、かつ食べ応えもある「適度な太さのLサイズ」を選ぶのが、最も失敗が少なく成功しやすい選択です。
焦げを防ぎつつ甘さを引き出す火加減の見方
焼き芋における「良い火加減」とは、アルミホイルを触った時に「非常に熱いが、指で一瞬触れるくらいなら耐えられる」程度が目安です。もしホイルから「ジュージュー」と激しい音が聞こえたり、焦げた匂いが漂ってきたりする場合は火が強すぎます。その場合はすぐに芋を火から遠ざけてください。
甘さを引き出す酵素「アミラーゼ」は、高温になりすぎると活動を停止してしまいます。そのため、60度から70度の状態をできるだけ長く保つことが重要です。焚き火の熾火は時間が経つにつれて弱まっていくため、最初は火が少し遠い場所に置き、火が弱まってきたら徐々に中央へ寄せていくという「逆のアプローチ」をすると、理想的な温度勾配を作ることができます。
焼きムラを減らす置き直しと回転のタイミング
焚き火台の中は熱の分布が一定ではありません。特に地面に近い側と空気に触れている上側では、かなりの温度差があります。そのまま放置すると、片面だけが真っ黒に焦げ、反対側はまだ硬いという焼きムラが発生してしまいます。
これを防ぐために、約15分に一度はトングで芋の向きを変えてあげましょう。横に倒している場合は180度回転させ、さらに「台の中央側」と「端側」を入れ替えるようにローテーションさせます。このひと手間を加えるだけで、芋全体のデンプンが均一に糖化し、どこを食べても甘くて柔らかい、完成度の高い焼き芋になります。このとき、アルミホイルが破れていないかも同時にチェックしましょう。
仕上げの余熱でねっとり感を出すコツ
竹串がスッと通り、十分に焼けたと判断した後、すぐにホイルを剥いて食べてしまいたいところですが、ここで「待つ」のがプロの技です。火から下ろした後、ホイルに包んだまま10分から15分ほど放置して「余熱」で蒸らしてください。
この余熱調理の間に、内部の水分が均一に回り、組織がさらに柔らかくなってねっとり感がアップします。また、高かった内部温度が少し下がることで、人間が最も甘みを感じやすい温度帯に近づきます。焚き火を囲んでお喋りをしながら、余熱で仕上げるこの時間は、焼き芋のクライマックスと言っても過言ではありません。この最後の忍耐が、焼き芋を「普通に美味しい」から「感動的に美味しい」へと進化させます。
焚き火台の焼き芋を安全に楽しむための要点まとめ
焚き火台で焼き芋を安全に、そして美味しく楽しむためのポイントをまとめました。まずは事前の準備として、芋を濡らした紙とアルミホイルでしっかりガードすることが鉄則です。これにより焦げ付きと火災のリスクを下げることができます。そして調理中は「炎」ではなく「熾火(おきび)」を使い、熱源との距離を適切に保ちながら時間をかけて焼くことを心がけてください。
また、後片付けの際は、芋を焼いた後の灰の中にまだ熱い炭が残っていることが多いため、完全に消火を確認するまで焚き火台から離れないようにしましょう。今回ご紹介したコツとおすすめのギアを活用すれば、次回のキャンプではきっと仲間や家族から絶賛される最高の焼き芋が出来上がるはずです。自然の中で味わう、ホカホカで甘い焼き芋の体験は、キャンプの思い出をより一層深いものにしてくれるでしょう。“`

