焼く、炒める、煮る、そしてそのまま食卓に出せるマルチグリドルは、今やキャンプの必須アイテムです。アルミ合金製で軽く、焦げ付きにくい加工が施されているため、後片付けも非常に簡単です。しかし、最近では多くのメーカーから多種多様なモデルが発売されており、どれを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。長く愛用するためには、自分のキャンプスタイルに合った最適な一枚を見つけることが大切です。
マルチグリドルのおすすめメーカーは使う場面で決めると失敗が減る
マルチグリドルを選ぶ際、単に「人気だから」という理由だけで選ぶのは避けるべきです。自分がソロキャンプをメインにするのか、家族で賑やかに料理を楽しむのかによって、最適なスペックは大きく異なります。また、キャンプ場だけでなく自宅のキッチンでも使いたい場合は、熱源の確認も欠かせません。まずは、購入前に整理しておくべき「使い方の条件」について、具体的なポイントを確認していきましょう。
料理の量と人数でサイズ感が変わる
マルチグリドルのサイズ選びは、一度に作る料理の量と参加人数を基準に考えます。一般的に、ソロキャンプやデュオキャンプであれば直径19cmから25cm程度のコンパクトなモデルが扱いやすく、ザックへのパッキングもしやすいです。このサイズなら、目玉焼きとウィンナーを同時に焼いたり、一人分のアヒージョを作ったりするのにちょうど良い広さがあります。
一方で、3人以上のファミリーやグループキャンプでは、33cmから36cm程度の大型モデルが主流です。中央で肉を焼きながら、周囲で野菜を焼くといった「同時調理」ができる広さがあるため、調理効率が格段に上がります。また、大きなサイズはパエリアやビビンバなど、見た目のインパクトがある料理を作る際にも重宝します。
ただし、サイズが大きくなるほど収納場所を取り、重さも増える点には注意が必要です。自分が持っているコンロや焚き火台のサイズに収まるかどうかも事前に確認しましょう。コンロに対してあまりに大きなグリドルを乗せると、熱がガス缶に伝わりすぎて危険な場合もあるため、安全に使える範囲のサイズを選ぶことが重要です。
熱源対応は自宅と外で条件が変わる
キャンプ場ではガスバーナーや焚き火で調理することがほとんどですが、自宅でも活用したい場合は「IH対応」かどうかを必ずチェックしてください。マルチグリドルの中には、軽量化のために底面が完全にフラットではなかったり、素材の特性上ガス火専用だったりするモデルが存在します。IHコンロで使用するには、底面が磁石に反応する素材で作られている必要があります。
最近では、多くのメーカーがガス火・IH両対応のモデルをリリースしていますが、中には特定のIH機種でエラーが出てしまうものもあります。自宅のキッチンでも「万能なフライパン」として日常使いを考えているなら、底面の形状や熱源の仕様を細かく確認しておくと安心です。
また、焚き火でガンガン使いたい場合は、高温による変形やコーティングの剥がれに強い、しっかりとした厚みのあるモデルが適しています。熱源によって最適なグリドルが異なるため、「どこで一番多く使うか」を明確にしておきましょう。屋外専用と割り切るのか、家と外の兼用にするのかを決めるだけで、選択肢はかなり絞り込めます。
コーティングは手入れの楽さに直結する
マルチグリドルの最大の魅力は、油を引かなくても食材がくっつかない「手入れの楽さ」にあります。これを支えているのが、表面に施されたコーティング技術です。多くの製品では「イノーブルコーティング」などの特殊な加工が採用されており、焦げ付きにくく、調理後もキッチンペーパーでサッと拭き取るだけで汚れが落ちます。
このコーティングの質や耐久性は、メーカーによって差が出やすい部分です。安価すぎる製品の中には、数回の使用で加工が剥がれてしまい、食材がこびりつくようになってしまうものもあります。長く使い続けたいのであれば、摩耗テストをクリアしているものや、PFOAフリー(人体に有害な物質を含まない)といった安全性が明示されている信頼できるメーカーの製品を選ぶのが賢明です。
手入れが簡単であれば、キャンプ中の貴重な時間を洗い物に費やす必要がなくなり、よりリラックスした時間を過ごせます。また、洗剤の使用量を減らせるため環境に優しく、水が自由に使えないキャンプサイトでもストレスなく調理が楽しめます。コーティングの質にこだわることが、結果としてキャンプ全体の満足度に繋がります。
付属品と拡張性で使い勝手が変わる
本体の性能はもちろんですが、セット内容や周辺アクセサリーの充実度も使い勝手を大きく左右します。マルチグリドルは熱伝導率が高いため、調理中は取っ手部分が非常に熱くなります。そのため、最初から専用の木製ハンドルやシリコンカバーが付属しているメーカーの製品を選ぶと、別途買い足す手間が省けて便利です。
また、専用の収納ケースが付属しているかどうかも大きなポイントです。マルチグリドルは平らで意外と場所を取るため、保護クッションが入ったケースがあれば、他のギアと一緒に車に積んでも傷がつく心配がありません。ケースにトングやハンドルをまとめて収納できるタイプなら、忘れ物の防止にも役立ちます。
さらに、最近では専用の「蓋」や「三脚」などが展開されているモデルもあります。蓋があれば蒸し料理や餃子も美味しく作れるようになり、料理のバリエーションが飛躍的に広がります。自分の料理スタイルに合わせて後からパーツを買い足せるような、拡張性の高いメーカーを選んでおくと、キャンプの楽しみがさらに深まります。
マルチグリドルのおすすめメーカー7選
現在、市場で高い評価を得ている主要なメーカーをご紹介します。それぞれのブランドに特徴があるため、自分のニーズに最も近いものを見つけてください。
JHQ
マルチグリドルブームの火付け役となった先駆者的メーカーです。その品質の高さから、多くのキャンパーに「迷ったらこれ」と言われるほどの信頼を得ています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なサイズ | 33cm、19cm |
| 特徴 | イノーブルコーティングによる圧倒的な焦げ付きにくさ |
| 熱源 | ガス、IH、焚き火、ラジエントヒーター対応 |
| 公式サイト | JHQ公式サイト |
VASTLAND
コストパフォーマンスに優れたアウトドアギアを展開する日本ブランドです。実用的な機能と手頃な価格のバランスが非常に良く、初心者の方にも最適です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なサイズ | 33cm |
| 特徴 | シリコンハンドルや収納袋がセットで付いてくる |
| メリット | 付属品を別途購入する必要がなく、すぐに使える |
| 公式サイト | VASTLAND公式サイト |
FIELDOOR
圧倒的な低価格で幅広いキャンプ用品を扱うメーカーです。マルチグリドルのラインナップも豊富で、気軽に試してみたいというニーズに応えてくれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なサイズ | 29cm、33cm、36cm |
| 特徴 | サイズ展開が豊富で、スタイルに合わせて選びやすい |
| メリット | 導入コストを抑えつつ、多機能さを体感できる |
| 公式サイト | FIELDOOR公式サイト |
CAPTAIN STAG
日本のアウトドア界を支える老舗ブランド。ホームセンターなどでも手に入りやすく、質実剛健な作りが魅力です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | アルミマルチボード(マルチグリドル型) |
| 特徴 | 丈夫な作りで、ラフに使い倒せる安心感 |
| 信頼性 | 日本メーカーならではの品質管理とサポート体制 |
| 公式サイト | キャプテンスタッグ公式サイト |
MOON LENCE
軽量でコンパクトなギアを得意とするメーカーです。持ち運びのしやすさを重視するソロキャンパーから高い支持を得ています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なサイズ | 20cm前後 |
| 特徴 | 軽量アルミ合金を採用し、重量負担を軽減 |
| デザイン | シンプルで無骨な外観がキャンプサイトに馴染む |
| 公式サイト | MOON LENCE公式サイト |
Dr.HOWS
韓国発のキッチンウェアブランドで、高いデザイン性が特徴です。キャンプでも「おしゃれさ」を重視したい方にぴったりのラインナップが揃っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なサイズ | 28cm、33cm |
| 特徴 | 優しい色合いや丸みを帯びたフォルムが美しい |
| 活用シーン | 写真映えするため、女子キャンプやパーティーに最適 |
| 公式サイト | Dr.HOWS公式サイト(海外/代理店) |
和平フレイズ
日本のキッチン用品専門メーカーです。長年培った調理器具の技術をキャンプギアに落とし込んでおり、機能性は折り紙付きです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 耐摩耗性に優れた加工技術で、長く使い続けられる |
| メリット | 自宅のキッチンでの使いやすさも徹底的に考えられている |
| 備考 | 日本の食文化に合った使い勝手の良さが魅力 |
| 公式サイト | 和平フレイズ公式サイト |
メーカー選びで納得しやすい比較ポイント
各メーカーから魅力的な製品が出ている中で、最終的に一つに絞るための比較ポイントを整理しましょう。スペック表の数字だけでは見えにくい「実際の使い心地」に関わる部分に注目することで、購入後の満足度が大きく変わります。特に重さや形状は、自分の調理スタイルとの相性が色濃く出る部分ですので、以下の4つの観点から比較してみてください。
重さと厚みは持ち運びと火の回りに関係する
マルチグリドルは「軽さ」が特徴の一つですが、メーカーによってアルミの厚みには違いがあります。薄いモデルは非常に軽く、徒歩やバイクでのキャンプでも持ち運びが楽ですが、その分「蓄熱性」が低く、火が当たっている部分だけが急激に熱くなる「熱ムラ」が起きやすい傾向があります。
厚みのあるモデルは多少重くなりますが、熱が均一に広がりやすく、ステーキなどの厚い肉を焼く際にもじっくりと火を通すことができます。また、一度温まると冷めにくいため、冬場のキャンプで料理がすぐに冷めてしまうのを防ぐ効果もあります。
オートキャンプ中心であれば、多少重くても厚みのあるモデルを選んだ方が、料理の仕上がりは良くなります。逆に、荷物を極限まで軽くしたいのであれば、薄くて軽量なモデルを優先しましょう。自分の移動手段と、料理へのこだわりを天秤にかけて選ぶのが正解です。
縁の深さは煮る炒めるの快適さに効く
一見フラットに見えるマルチグリドルですが、中心部に向かって緩やかに窪んでいます。この「縁の深さ」が、作れる料理のレパートリーを左右します。窪みが深いタイプであれば、すき焼きやアクアパッツァといった汁気の多い料理も、こぼれる心配をせずに作ることができます。
逆に窪みが浅いフラットに近いタイプは、食材を裏返したり、トングで挟んだりする動作がスムーズに行えます。パンケーキを焼いたり、お好み焼きを作ったりする場合は、フラットな方が扱いやすく感じます。
自分がキャンプでスープ系や煮込み系の料理を頻繁に作るのか、それともシンプルに焼くことがメインなのかを考えてみましょう。最近では、深型に特化したモデルも登場しているため、煮物や汁物をメインにしたい方は、メーカー公表の「中心部の深さ」を数値で比較することをおすすめします。
取っ手の形は収納と安全性に影響する
マルチグリドルの両端にある取っ手(ハンドル)の形状も、意外と重要な比較ポイントです。本体と一体型になっているタイプが一般的ですが、その長さや角度によって、持ち運びやすさやコンロの上での安定感が変わります。ハンドルが大きく外側に張り出しているタイプは持ちやすいですが、その分収納時にかさばります。
また、ハンドルの穴の有無も確認しましょう。穴が開いているタイプなら、S字フックなどを使ってキャンプサイトのハンガーラックに吊り下げて見せる収納ができます。調理後の熱いグリドルを洗った後、風に当てて乾かす際にも吊り下げられると非常に便利です。
安全面を考えるなら、専用の木製カバーがしっかりとはまる形状か、あるいはシリコンカバーが付属しているかどうかも大きな判断基準になります。取っ手は調理中、常に「熱さ」のリスクを伴う場所ですので、自分がどのように持つかを想定して、最もストレスがなさそうな形状を選んでください。
ケースと洗いやすさで運用が続きやすい
キャンプギアを長く愛用できるかどうかは、「帰宅後の手入れ」のハードルに左右されます。マルチグリドルは汚れが落ちやすいのが魅力ですが、収納ケースの有無やその質も重要です。専用ケースがないと、他のギアを傷つけないように新聞紙やタオルで包む必要があり、これが意外と手間に感じます。
自立するタイプのケースや、汚れを拭き取りやすい素材のケースが付属していれば、撤収作業がスムーズに進みます。また、本体の表面だけでなく「裏面」の形状もチェックしてください。裏面が複雑な凹凸になっているタイプは、焚き火の煤(すす)が入り込むと落とすのが大変です。
裏面まで滑らかに仕上げられているモデルであれば、スポンジで撫でるだけで煤汚れも綺麗になります。表面の焦げ付きにくさはもちろん、全体の「洗いやすさ」と「片付けやすさ」まで考慮されたメーカーを選ぶことで、次のキャンプでも「また使おう」という前向きな気持ちになれます。
マルチグリドルはメーカーの強みと使い方の相性で満足度が決まる
マルチグリドルは、一つあるだけでキャンプ飯の質と快適さを劇的に変えてくれる魔法のような道具です。JHQのような先駆者メーカーの安心感を選ぶのも、VASTLANDやFIELDOORのようなコストパフォーマンスに優れた国内ブランドを選ぶのも、どちらも正解と言えます。大切なのは、自分のキャンプ人数や、得意とする料理メニュー、そして自宅での利用頻度に最もマッチする一枚を見極めることです。
サイズ、熱源対応、コーティングの質、そして持ち運びのしやすさ。これらのポイントを一つずつ確認していけば、自ずとあなたに最適なメーカーが見えてくるはずです。お気に入りのマルチグリドルを手に入れて、焚き火の火を眺めながら、最高に美味しい一皿を楽しんでください。道具選びにこだわった分だけ、キャンプの時間はより豊かで快適なものになります。

