スノーピークの「アイアングリルテーブル(IGT)」システムにおいて、絶大な人気を誇るのがフラットバーナーです。テーブルとバーナーが段差なく一体化するそのスタイルは、キャンプでの調理体験を劇的に快適なものへと変えてくれます。なぜ多くのキャンパーがこの組み合わせに惹かれるのか、そして使い勝手を最大化するためのポイントは何なのか。導入を検討している方が知っておきたいメリットや設置のコツを詳しくご紹介します。
IGTのフラットバーナーは何が便利?キャンプ調理が変わるポイント
IGTシステムにフラットバーナーを組み込む最大の利点は、キッチンとダイニングが境界なく繋がることです。一般的なシングルバーナーやカセットコンロをテーブルの上に置くと、どうしても器具の高さ分だけ調理位置が上がってしまいますが、フラットバーナーならその悩みが解消されます。まるで自宅のシステムキッチンのような操作感を屋外で実現できるのが、このアイテムの真髄です。
天板と一体になるから作業がしやすい
フラットバーナーをIGTフレームにセットすると、天板とバーナーの表面がほぼツライチ(フラット)な状態になります。これにより、横に置いたまな板で切った食材を、そのままスライドさせるようにして鍋やフライパンに投入できます。段差がないため、重いダッチオーブンや大きなフライパンを移動させる際も、持ち上げる動作が最小限で済み、調理中のストレスが大幅に軽減されます。
また、バーナーを使わないときは、上にリッド(蓋)を被せることで完全なフラットテーブルとしても機能します。調理スペースがそのまま食事スペースに早変わりするため、限られたテーブルトップの面積を最大限に有効活用できます。この「一体感」こそが、IGTとフラットバーナーを組み合わせる最大の魅力であり、多くのファンに支持される理由です。
火力と安定感はどんな料理で活きるか
フラットバーナーは、最大出力3,000kcal/hという十分な火力を備えています。この火力は、お湯を素早く沸かすだけでなく、火力を必要とする炒め物や、じっくり熱を通す煮込み料理にも最適です。さらに、4本の脚を外してIGTにセットする構造上、五徳が非常に低く安定しているため、重い鋳鉄製の調理器具を載せてもグラつく心配がありません。
大きな五徳は、ソロ用の小さなクッカーから、ファミリー向けの大きなスキレットまで幅広く対応します。特に、安定した熱源が必要な「揚げ物」や「燻製」など、キャンプでは少しハードルの高い料理にも安心して挑戦できるようになります。火加減の調整もレバー式で直感的に行えるため、繊細な温度管理が求められる炊飯も失敗しにくくなります。
風の影響を受けやすい場面と対策の方向性
フラットバーナーの構造上の特徴として、バーナーヘッドが露出しているため、風の影響を受けやすいという側面があります。特に海辺や高原など、風が強く吹き抜けるキャンプサイトでは、炎が流されて調理に時間がかかったり、火力が安定しなかったりすることがあります。
この問題への対策としては、IGTの配置を工夫して風除け(ウインドスクリーン)を立てるか、純正のオプションパーツやサードパーティ製の風防を装着するのが一般的です。また、バーナーをセットする位置をIGTフレームの中央寄りにし、周囲に高めのクッカーなどを配置して「壁」を作るだけでも効果があります。風向きを意識したレイアウト作りを心がけることで、燃焼効率を損なわずに調理を楽しむことができます。
「扱いにくい」と感じやすい人の共通点
非常に便利なフラットバーナーですが、中には「自分には合わなかった」と感じる方もいます。その多くは、IGTシステムの「重さ」や「設営の手間」が負担になっているケースです。IGTフレームと脚、そしてフラットバーナーを合わせるとそれなりの重量になり、車への積載や運搬には工夫が必要です。
また、ガス缶(OD缶)をバーナー本体のレールに吊り下げて固定する独特のスタイルに、最初は戸惑うかもしれません。しかし、これらは「システムとして完成させる楽しみ」の裏返しでもあります。手軽さよりも、現地でどっしりと腰を据えて料理を楽しみたい、キッチンのレイアウトにこだわりたいという方にとって、この「扱いにくさ」はむしろ所有欲を満たすポイントへと変わっていきます。
IGTフラットバーナーと相性がいいおすすめアイテム
フラットバーナーを導入するなら、その能力を引き出すためのIGT関連パーツも揃えておきたいところです。公式サイトの情報に基づいた、基本のラインナップをご紹介します。
| 商品名 | 役割 | 公式URL |
|---|---|---|
| フラットバーナー | IGTに収まるフラットなガスバーナー | 公式サイト |
| エントリーIGT | 脚一体型の初心者向け3ユニットフレーム | 公式サイト |
| IGTフレーム | 自由に脚を選べる標準的なアルミフレーム | 公式サイト |
| IGTフレームロング | 大人数向きの4ユニット対応フレーム | 公式サイト |
| ステンレス天板 | 耐熱性に優れた1ユニット分の天板 | 公式サイト |
| リッドトレー | 蓋にもなり、裏返してトレーにもなる天板 | 公式サイト |
| マルチファンクションテーブル | フレームに接続して天板を拡張するテーブル | 公式サイト |
スノーピーク フラットバーナー
まずはこの主役がなければ始まりません。シンプルな構造でメンテナンスがしやすく、長年愛用できるタフなバーナーです。IGTの1ユニット分を占有し、OD缶を接続して使用します。
スノーピーク エントリーIGT
脚の取り付けが不要な一体型モデルで、3ユニット分のスペースがあります。フラットバーナーを1つセットしても、残り2ユニットを天板として使えるため、ソロやデュオキャンプならこれ1台でキッチンが完成します。
スノーピーク IGTフレーム(3ユニット/4ユニット)
好みの長さの脚(300/400/660/830mm)を組み合わせて使える、IGTの基本フレームです。自分のキャンプスタイルに合わせて高さを選べるのが最大のメリットで、フラットバーナーを組み込む際も最適な作業高を確保できます。
スノーピーク IGTフレームロング
4ユニット分のスペースを持つロングタイプです。フラットバーナーを2台並べた「2口コンロ」スタイルにしたり、バーナーの横に広い作業スペースを確保したりと、本格的な調理を楽しみたい方に最適です。
スノーピーク ステンレス天板(1ユニット)
フラットバーナーのすぐ横に配置する天板として最も推奨されるアイテムです。竹天板と違い、熱い鍋を一時的に置いても安心で、油跳ねなどの汚れもサッと拭き取れるため、衛生的に調理を続けられます。
スノーピーク リッドトレー(1ユニット/ハーフユニット)
バーナーを使わない時に五徳の上を覆うことで、テーブルを広く使えるようにする蓋です。裏返せばトレーとしても使えるため、小物を整理したり食材を運んだりする際にも重宝します。
スノーピーク マルチファンクションテーブル
IGTフレームの端に連結して、ダイニングスペースを拡張します。調理はIGTフレーム上のフラットバーナーで行い、出来上がった料理をすぐ横の広いテーブルで食べるという、理想的なキャンプ動線が作れます。
IGTフラットバーナーの設置とカスタムで失敗しないコツ
フラットバーナーをIGTに組み込む際は、いくつかの基本的なルールやコツを知っておくことで、使い勝手がさらに向上します。配置一つで調理のしやすさが変わるため、自分の動線をイメージしながらセッティングしてみましょう。
何ユニットに入るかと組み合わせの考え方
フラットバーナーは「1ユニット」のサイズです。例えば、3ユニットのフレームを使う場合、左右どちらかの端にバーナーを寄せ、残りの2ユニットを調理スペースや水切りスペースにするのが一般的です。端に寄せることで、テーブルの角を利用した作業がしやすくなり、ダイニングとしてのスペースも確保しやすくなります。
もし、複数人で囲んで調理を楽しみたいなら、あえて中央にバーナーを配置するのも面白いでしょう。ただし、その場合はガス缶の取り回しや、熱い鍋の置き場所を周囲にバランスよく配置する必要があります。まずは「端寄せ」からスタートし、自分の調理スタイルに合わせてユニットの入れ替えを試すのが失敗しないコツです。
ガス缶まわりの置き方と取り回しの注意点
フラットバーナーを使用する際、ガス缶(OD缶)の固定位置が重要です。標準ではフレームのレール部分にハンガーで吊り下げますが、この位置が調理中の膝に当たったり、椅子に座った際に邪魔になったりすることがあります。
設置する際は、ガス缶が自分の足元に干渉しない位置に来るよう、バーナーの向きを考慮しましょう。また、ガス缶は火元から近すぎず、かつ操作しやすい位置にくるよう設計されていますが、長時間の調理でガス缶が冷えて火力が落ちる「ドロップダウン現象」が起きた際は、市販のガス缶カバーなどで保温対策をすると冬場でも安定して使えます。
テーブル高さとチェアの相性を合わせる
フラットバーナーの「フラットさ」を活かすには、テーブルの高さ設定が肝心です。現在主流のロースタイル(脚の長さ400mm)であれば、座面高が30cm前後のチェアと組み合わせることで、座ったまま無理のない姿勢で鍋の中を覗き込み、調理ができます。
これが660mmのミドルスタイルや830mmのハイスタイルになると、立ち作業がメインになります。自宅のキッチンと同じ感覚で料理をしたいならハイスタイルが良いですが、くつろぎながら調理も楽しみたいならロースタイルが適しています。バーナーの位置が下がっている分、普通のカセットコンロを使う時よりも低めの設定にしても使いやすく感じます。
掃除と保管で劣化を遅らせるポイント
フラットバーナーは汁受け皿(汁受け)が分解できるため、キャンプ後の掃除が非常に楽です。調理中に吹きこぼしてしまっても、パーツを外して丸洗いできるため、常に清潔な状態を保てます。これを怠ると、こびり付いた汚れが焦げて取れなくなったり、サビの原因になったりします。
保管の際は、完全に乾燥させてから純正の収納袋に入れましょう。五徳の部分は頑丈ですが、ガスホースや点火装置は繊細なパーツです。無理なパッキングを避け、他の金属パーツとぶつからないように保護して運搬することで、点火不良などのトラブルを防ぎ、長く現役で使い続けることができます。
IGTのフラットバーナーを選ぶ判断軸と使い方のまとめ
IGTとフラットバーナーの組み合わせは、キャンプの質を一段階引き上げてくれる「究極のシステム」です。道具としての美しさはもちろん、実用面においても他の追随を許さない完成度を誇ります。
- 一体感: テーブルとフラットに繋がることで、調理と食事がシームレスになる。
- 安定性: 重い鍋も安心して載せられる低い重心と頑丈な五徳。
- 拡張性: IGTのユニットシステムを活かして、自分だけのキッチンを構築できる。
- メンテナンス: 分解して洗える構造で、アウトドアでも衛生的に保てる。
もし、今のキャンプ調理に「狭さ」や「不安定さ」を感じているなら、フラットバーナーの導入は大きな解決策になります。一度このフラットな世界を体験すると、もう以前のキッチンには戻れなくなるかもしれません。自分好みのカスタムを楽しみながら、最高の一皿をフィールドで作り上げてください。

