スノーピークのアイアングリルテーブル(IGT)は、ユニットを組み替えて自分好みのキッチンやテーブルを作れる画期的なシステムです。近年、このIGT規格に合わせたカスタムパーツを製作する「ガレージブランド」が急増しており、純正品にはない素材感や高いデザイン性が注目を集めています。自分だけの一台を作り上げるために、ガレージブランドを取り入れるメリットと選び方のコツを詳しく解説します。
IGTのガレージブランドは何が違うのか 使い分けの結論
ガレージブランドのパーツを導入する最大の理由は、圧倒的な「個性の演出」にあります。純正品が誰にでも使いやすい機能美を追求しているのに対し、ガレージブランドは特定のスタイルや素材感に特化した製品が多く、キャンプサイトの雰囲気を劇的に変える力を持っています。純正の使い勝手を活かしつつ、視覚的な満足度をどこまで高めたいかによって、取り入れるパーツを選ぶのが結論と言えます。
純正との違いは素材とデザインの方向性に出る
純正のIGTは、アルミニウムやステンレスを主材とした、無機質で清潔感のあるインダストリアルなデザインが特徴です。これに対し、ガレージブランドのパーツは、ウォールナットやオークといった重厚感のある天然木、緻密なレーザーカットが施されたブラックスチール、経年変化を楽しめる真鍮など、素材の選択肢が非常に豊富です。純正が「質実剛健な道具」であるならば、ガレージブランドは「空間を彩る家具」としての側面が強いという違いがあります。
デザインの方向性も、武骨なミリタリースタイルから洗練されたウッドスタイルまで多岐にわたります。純正フレームをベースにしつつ、天板部分だけをガレージブランドのウッドパネルに変えるだけで、冷たい金属の印象が温かみのあるリビングのような表情に変わります。このように、機能のベースは信頼の純正品で固め、自分の好みの世界観をガレージブランドで肉付けしていくのが、現在のIGTカスタムの主流となっています。
天板とフレームで満足度が変わりやすい
IGTカスタムにおいて、最も視覚的な変化をもたらすのは「天板(ウッドパネルやメタルパネル)」です。テーブルの面積の大部分を占める天板を、ガレージブランドの意匠を凝らしたパーツに変えると、座った瞬間の満足度が格段に向上します。一方で、最近では「フレーム」そのものを独自に開発するブランドも登場しています。これらは純正よりも軽量であったり、逆に特定のアタッチメントを付けやすかったりと、独自のアプローチで利便性を高めています。
ただし、フレームまでガレージブランドにする場合は、剛性や組み立てのしやすさをよく確認する必要があります。純正フレームは長年の使用に耐えうる設計がなされていますが、一部のカスタムフレームはデザイン性を優先して安定性に欠ける場合があるためです。まずは天板などの「顔」となる部分からカスタムを始め、徐々にフレームや脚といった構造部へ広げていくのが、失敗が少なく満足度を維持できる進め方です。
互換性は規格と寸法の確認で差が出る
IGTは「1ユニット=250mm×360mm」という明確な規格に基づいています。ガレージブランドの多くはこの寸法に合わせて設計されていますが、素材の厚みや加工精度によって、稀に純正フレームにぴったり収まらない、あるいは隙間ができてしまうことがあります。特に木製の天板は湿気や乾燥でわずかに伸縮するため、純正品ほどの「遊び」が計算されていないパーツを無理に嵌め込むと、フレームに傷がつく原因にもなります。
また、ハーフユニット(0.5ユニット)のパーツを組み合わせる際も注意が必要です。微妙な寸法のズレが重なると、最後に1枚が入らなくなるといったトラブルが起こり得ます。購入前には必ず「スノーピーク純正IGT互換」の表記を確認し、SNSや口コミで実際の装着写真などをチェックして、自分の持っているフレーム(3ユニット、4ユニットなど)との相性を把握しておくことが大切です。
入手性とメンテのしやすさも判断材料になる
ガレージブランドの製品は、小規模な工房で作られていることが多く、一度在庫が切れると再入荷まで数ヶ月待つことも珍しくありません。また、抽選販売や期間限定販売という形態も多いため、欲しいと思った時にすぐ手に入らない「入手難易度の高さ」も特徴の一つです。これに対し、純正品は全国のアウトドアショップで安定して購入できるため、破損時の買い替えやすさでは圧倒的に勝っています。
メンテナンスについても同様です。純正のステンレス天板は洗剤でガシガシ洗えますが、ガレージブランドのオイル仕上げのウッドパーツは、定期的なオイルメンテナンスや、水濡れへの配慮が求められます。自分のキャンプスタイルが「道具を丁寧に手入れして育てたい」のか、「タフに使い倒して手軽に片付けたい」のか。そのスタンスに合った素材を選ぶことが、カスタム後のストレスを減らすポイントになります。
IGT対応ガレージブランドのカスタムパーツおすすめ
IGTカスタムの世界で特に支持されている主要なガレージブランドをご紹介します。各ブランドごとに得意とする素材やデザインの個性がはっきりしているため、自分の理想とするサイトの雰囲気に合わせて選んでみてください。
| ブランド名 | 特徴 | 代表的なパーツ | 公式サイトリンク |
|---|---|---|---|
| WHAT WE WANT | 美しい木工技術 | ウォールナット製ウッドパネル | 公式サイト |
| INAVANCE | 金属加工の極致 | レーザーカット天板、ZERO CAP | 公式サイト |
| asimocrafts | 特徴的なグリップと木工 | IGT用アシグリップ、天板 | 公式サイト |
| TheArth | 唯一無二のヘキサデザイン | 「床上手さん」などの天板シリーズ | 公式サイト |
| H&O | 先鋭的なタクティカルデザイン | サイドバー、拡張用天板パーツ | 取扱店サイト等 |
| SomAbito | 和モダンと無骨の融合 | オールドツリー天板、真鍮パーツ | 公式サイト |
| BALLISTICS | ミリタリーテイスト | 収納バッグ、キッチンペーパーケース | 公式サイト |
| 38explore | システマチックな構造美 | 38灯、マルチ棚板 | 公式サイト |
WHAT WE WANT 天板や周辺パーツの定番
WHAT WE WANTは、精密な木工技術を活かした温かみのあるパーツが魅力のブランドです。特にウォールナットを使用したウッドパネルは、IGTの無機質なアルミフレームに豊かな表情を与えてくれます。木の質感が非常に高く、手で触れた時の心地よさは純正品にはない贅沢さがあります。ウッドパネルだけでなく、シェラカップを掛けられるサイドバーなどの周辺小物も充実しており、トータルでコーディネートしやすいのが特徴です。
INAVANCE 天板や小物で雰囲気を作りやすい
INAVANCE(インアバンス)は、金属削り出しの美しさと機能性を追求するブランドです。IGT用の天板パーツでは、幾何学的なレーザーカットを施したアルミパネルなどが人気で、軽量化とデザイン性を両立させています。また、ランタンをIGTにスマートに固定するための「ZERO CAP」などの小物も充実しており、テーブル周りのライティングまで含めた一体感のあるカスタムを得意としています。
asimocrafts 木製パーツで統一感を出しやすい
asimocrafts(アシモクラフツ)は、独特の「A」の字をモチーフにした木工パーツで知られる超人気ブランドです。IGTのフレームに取り付けるカスタムグリップや、天板のアクセントになるウッドパーツは、一度見たら忘れられない個性を放ちます。他の焚き火台やナイフなどのギアも同じブランドで揃えることで、キャンプサイト全体に強い統一感を生み出すことができます。
TheArth 個性のある天板でサイトの主役になる
TheArth(ざぁ〜ッス)は、六角テーブル「ヘキ男」シリーズなどで知られ、唯一無二の塗装やデザインを施した天板が特徴です。IGTの1ユニット分に収まるサイズでも、そのブランドロゴやグラフィカルなデザインは圧倒的な存在感を発揮します。単なるテーブルを、サイトの象徴的な「主役」へと変えてくれるパワーがあります。個性を最大限に主張したいキャンパーに選ばれているブランドです。
H&O テーブル周りを拡張しやすいパーツが多い
H&O(エイチアンドオー)は、タクティカルで洗練されたデザインが特徴のブランドです。IGTのフレームに磁石で固定できるサイドトレーや、ライトを吊り下げるためのブラケットなど、調理動線を改善しつつ見た目を整える「痒い所に手が届く」パーツが豊富です。実用性を損なわずに、どこか未来的な雰囲気を感じさせるカスタムを楽しみたい方に適しています。
SomAbito 無骨さと使いやすさのバランスが良い
SomAbito(ソマビト)は、奥京都を拠点に活動するブランドで、伝統的な木工に無骨な金属パーツを組み合わせるスタイルを得意としています。真鍮を使用した経年変化を楽しめる天板や、古材のような風合いのウッドパネルは、ヴィンテージ風のサイト作りに最適です。使いやすさを犠牲にしない絶妙な設計も、多くのファンを惹きつける理由の一つです。
BALLISTICS 収納や周辺ギアと合わせて整えやすい
BALLISTICS(バリスティクス)は、ミリタリーやモーターサイクルを背景に持つ、タフで機能的なデザインが魅力です。IGT本体というよりも、その周辺を整える収納バッグやサイドに吊り下げるケースなどが充実しています。マルチカムやコヨーテといったカラーリングで統一することで、IGTシステムをより野営感のあるスタイルへと昇華させてくれます。
38explore ランタン周りも含めて一体感を作りやすい
38explore(ミヤエクスプローラー)は、システマチックな構造が特徴のブランドです。代表作である「38灯」などのLEDランタンと、それをIGTにマウントするためのアタッチメントの組み合わせは、夜の調理効率を劇的に上げます。天板パーツも、単なる板としてだけでなく、三脚と連結できたりと多機能なものが多く、ギミックを楽しみたいキャンパーから高い支持を得ています。
IGTカスタムで後悔しない選び方と組み方
ガレージブランドのパーツはどれも魅力的ですが、計画なしに集めると「使いにくいテーブル」になってしまう恐れがあります。IGTの良さは、あくまで「自分の動線に合わせたシステム」を作れる点にあります。失敗を防ぎ、最高の使い勝手とデザインを両立させるために、レイアウトの基本から素材の選び方、持ち運びまで考慮した組み方のポイントを解説します。
まずユニット数とレイアウトを決めてから選ぶ
IGTカスタムの出発点は、フレームのサイズ選びです。主流は3ユニット(レギュラー)か4ユニット(ロング)ですが、ソロなら2ユニット(エントリーなど)という選択肢もあります。まず「何を組み込むか」を書き出してみましょう。バーナーで1ユニット、水切り籠で1ユニット、作業スペースで1ユニットといった具合です。これらが決まる前にガレージブランドの天板を買い集めてしまうと、スペースが足りなくなったり、逆に空きすぎてしまったりします。
レイアウトも重要です。調理に特化するなら一列のストレート型、囲んで食事を楽しむならマルチファンクションテーブルを連結したL字型など、スタイルによって必要なパーツの数は変わります。ガレージブランドのパーツは高価なものが多いため、まずは最小限のユニット数でベースを組み、自分の調理動線を確認しながら、少しずつ天板をカスタムパーツへ置き換えていくのが、最も後悔の少ない進め方です。
天板は耐熱と汚れやすさで素材を選び分ける
ガレージブランドの天板選びで最も気をつけるべきは、その「配置」です。ウッド天板は見た目が非常に良いですが、火にかけたばかりの熱い鍋を直接置くことはできません。焦げ跡がついてしまうと、せっかくの高価なカスタムパーツが台無しになります。バーナーの隣には必ずステンレスやスチール製の耐熱天板を配置し、ウッドパネルは熱源から離れた「食事・作業スペース」に置くといった素材の使い分けが必要です。
また、油跳ねや汁こぼれが想定される場所には、汚れが染み込みにくい塗装が施されたものや、掃除が容易な金属製パネルを置くのが無難です。逆に、自分でお気に入りのオイルを塗り込んで育てたいという方は、あえて無塗装のウッド天板を選び、変化を楽しむのも良いでしょう。素材ごとの特性を理解し、調理の「熱」と「汚れ」を想定したゾーニングを行うことが、長期間美しく使い続けるための秘訣です。
脚と高さは椅子の高さと調理動線で決める
IGTの利便性を決める隠れた重要要素が「脚の長さ(高さ)」です。純正では300mm(お座敷)、400mm(ロースタイル)、660mm(ミドル)、830mm(立ち仕事)の4段階が用意されています。ガレージブランドからも、伸縮可能な脚やデザイン性に優れた脚が登場していますが、まずは自分の持っているキャンプチェアとの相性を最優先に考えましょう。
現在最も人気があるのは、焚き火を囲む時にも便利な400mmのロースタイルです。しかし、本格的な調理を長時間行うのであれば、腰への負担が少ない660mmが適しています。ガレージブランドの天板の中には、特定の高さで使うことでよりデザインが映えるものもあります。例えば、座った時に目線が近くなるロースタイルなら、天板の細かな彫刻や木目がより楽しめます。椅子の座面高から、肘を自然に曲げた時の高さを考慮して、最適な高さを導き出してください。
重さと収納サイズは持ち運びスタイルで調整する
IGTシステムは、ユニットが増え、ガレージブランドの重厚な天板を追加するほど、総重量がかなり重くなります。天然木の一枚板や厚手のスチールパネルは、純正のハニカム構造の天板よりも重い傾向があります。車への積載スペースや、キャンプ場での運び込みの距離を考慮して、自分が無理なく扱える重さかを確認しておきましょう。
また、収納サイズも盲点です。IGTフレーム自体が平べったい大きな形状のため、天板をすべて装着したまま運ぶのは現実的ではありません。ガレージブランドの天板を複数枚持ち運ぶ際は、傷を防ぐための専用ケースや緩衝材が必要になります。持ち運びやすさを優先するなら、軽量なアルミ製カスタムパーツを混ぜる、あるいはコンパクトに分解できるフレームを選ぶといった調整が必要です。「カッコいいけれど重すぎて持っていかなくなった」という事態を避けるために、機動力とのバランスを常に意識してください。
IGTのガレージブランドまとめ
IGTをガレージブランドでカスタムすることは、単なるキャンプギアのアップデートを超え、自分だけの「移動式キッチン兼リビング」を構築するクリエイティブな楽しみです。2026年現在、WHAT WE WANTやINAVANCEをはじめとする多くのブランドが、私たちの想像を超える美しいパーツを世に送り出しています。それらをどう組み合わせるかは、あなた次第です。
まずは純正のシステムで土台をしっかりと作り、そこに自分の好みの素材感やデザインを一点ずつ足していくことで、使い勝手と美しさが両立した理想のテーブルが完成します。素材の特性を知り、配置に気を配り、メンテナンスを楽しみながら使い込む。そうして出来上がったIGTは、きっと次のキャンプをより特別で、心躍る時間に変えてくれるはずです。お気に入りのブランドを見つけ、自分だけのIGT進化を楽しみましょう。

