ヘリノックスのチェアは、キャンプ愛好家なら誰もが憧れる最高峰のギアですが、タクティカルとチェアワンのどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。一見似ている両者も、細かな仕様の違いがキャンプでの快適さを左右します。本記事では、後悔しないための選び方の決定打をプロの視点で詳しく解説します。
ヘリノックスのタクティカルチェアとチェアワンの違いは使う場所と座り方で決まる
タクティカルは丈夫さと雰囲気重視
タクティカルチェアの最大の特徴は、ミリタリー仕様のタフな作りと、無骨で洗練されたデザインにあります。使用されている生地はポリエステル製の「600デニール」という非常に厚手で頑丈な素材であり、チェアワンに比べて格段に耐久性が高められています。
この厚みのある生地は、座った際に過度な沈み込みを抑え、しっかりとした安定感を提供してくれます。また、タクティカルラインならではの機能として、座面の左右に配置されたカーゴポケットが非常に便利です。スマートフォンや小物を手元に置いておける実用性は、一度使うと手放せません。
さらに、背面に配置されたベルクロは自分好みのパッチを貼ってカスタマイズを楽しむことができ、まさに「自分だけのギア」を育てる喜びを与えてくれます。メッシュ部分がないため、冬場でも背中からの冷気が入りにくく、焚き火の火の粉に対しても(難燃素材ではありませんが)薄手のメッシュよりは心理的な安心感があります。
キャンプサイトをミリタリー調や無骨なスタイルで統一したい方や、一つの椅子を長くタフに使い倒したいという方にとって、タクティカルチェアは間違いのない選択となるでしょう。
チェアワンは軽さと汎用性が強み
ヘリノックスの原点であり、世界中のアウトドアシーンで愛され続けているのがチェアワンです。このモデルの最大の強みは、徹底した軽量化と、どのような環境にも馴染む汎用性の高さにあります。タクティカルチェアとの決定的な違いは、座面の両サイドと背面に大胆に配置されたメッシュ素材です。
このメッシュが抜群の通気性を確保するため、真夏のキャンプやフェス、あるいは汗をかくようなアクティビティの後でも、背中が蒸れることなく驚くほど快適に過ごすことができます。また、メッシュを採用していることで全体重量が抑えられており、収納サイズもタクティカルよりわずかにコンパクトになります。
徒歩キャンプやツーリング、登山といった、1gでも荷物を軽くしたいシチュエーションにおいて、この軽さは圧倒的なアドバンテージとなります。デザイン面でも、豊富なカラーバリエーションが展開されており、キャンプサイトを明るく彩りたい方や、インテリアとして部屋の中で使いたい方にも最適です。
シンプルだからこそ飽きがこず、どんな場所へも持ち出したくなる軽快さ。チェアワンは、アウトドアの楽しみ方を広げてくれる、まさに「究極のスタンダード」と呼ぶにふさわしい一脚です。
座面の高さで立ち座りの楽さが変わる
チェア選びにおいて見落とされがちですが、実は最も重要なのが「座面の高さ」です。タクティカルチェアとチェアワン(ノーマルサイズ)の座面高は約34〜35cmとなっており、これは一般的なローチェアの中でも立ち上がりやすい絶妙な高さに設定されています。
座面が高ければ高いほど、膝への負担が少なくなり、調理をしたり焚き火をいじったりといった、頻繁に立ち座りを繰り返す動作がスムーズになります。逆に、より地面に近い感覚を好む方は、さらに低重心なモデルを検討することになりますが、腰痛持ちの方や足腰の疲れを軽減したい方には、このヘリノックスの標準的な高さが最も推奨されます。
さらに、体格が良い方や、よりゆったりと腰掛けたい方のために用意されている「Lサイズ」や「XLサイズ」では、座面高が数センチ高く設定されており、膝が深く曲がりすぎないため、長時間の着座でも疲れにくいというメリットがあります。
自分のキャンプスタイルが「椅子に座ってじっくりくつろぐ」ことなのか、それとも「立ったり座ったりして活動的に過ごす」ことなのかを冷静に分析することで、自分にとって最適な座面高を見極めることができるはずです。
迷ったら「収納性」と「安定感」を優先する
もしタクティカルとチェアワンのどちらにするか最終的に迷ってしまったら、自分の優先順位が「移動のしやすさ(収納性)」なのか、それとも「座った時の安心感(安定感)」なのかで判断を下しましょう。
バックパック一つでキャンプに行く、あるいは公共交通機関を利用して移動するという方であれば、メッシュ素材で軽量化され、収納ケースもコンパクトなチェアワンがその真価を発揮します。わずかな重量差であっても、長距離を歩く際にはその恩恵を強く実感できるはずです。
一方で、車での移動がメインであり、サイトに到着したらどっしりと腰を据えて過ごしたいという方には、タクティカルチェアをおすすめします。タクティカルの厚手の生地による「包み込まれるような剛性感」は、チェアワンの軽やかさとはまた違った、高級ソファに座っているかのような安心感を与えてくれます。
また、タクティカルの収納袋はジッパー形式で、チェアのフレームに取り付けて小物入れとして活用できる工夫がなされており、サイトでの利便性が非常に高いのもポイントです。どちらも超一流のギアであることに変わりはありませんが、自分が最も椅子を必要とする「その瞬間」のシーンを想像することが、最高の満足感を得るための鍵となります。
ヘリノックスで今買うならこのおすすめ6選
ヘリノックス タクティカルチェア
圧倒的な人気を誇るタクティカルラインのフラッグシップ。耐久性の高い生地と機能的なサイドポケットを備え、キャンプシーンを格上げしてくれるタフな一脚です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | ヘリノックス タクティカルチェア |
| 価格帯 | 17,000円〜19,000円前後 |
| 特徴 | 600Dポリエステル、サイドポケット付き |
| 公式サイト | メーカー公式ページはこちら |
Helinox チェアワン L 1822225
標準モデルよりも一回り大きく、ゆったりとした座り心地を実現。大柄な方でも窮屈さを感じず、包み込まれるようなリラックス感を味わえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Helinox チェアワン L |
| 価格帯 | 15,000円〜17,000円前後 |
| 特徴 | ワイドな座面、優れた通気性 |
| 公式サイト | メーカー公式・販売ページはこちら |
ヘリノックス チェアワン Home
ライフスタイルに溶け込むキャンバス地のような風合いが特徴。キャンプだけでなく、リビングのインテリアとしても違和感なく使用できる上品なモデルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | ヘリノックス チェアワン Home |
| 価格帯 | 16,000円〜18,000円前後 |
| 特徴 | ポリエステル製の肌触りの良い生地 |
| 公式サイト | メーカー公式ページはこちら |
Helinox チェアホーム XL
ヘリノックス史上最大級のサイズ感を誇るモデル。体の大きな方でも余裕を持って座れるだけでなく、ソファのような寛ぎをアウトドアに持ち込めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Helinox チェアホーム XL |
| 価格帯 | 23,000円〜25,000円前後 |
| 特徴 | 圧倒的な座面幅と背もたれの高さ |
| 公式サイト | メーカー公式ページはこちら |
ヘリノックス グラウンドシート
脚の沈み込みを防ぐ、ヘリノックスユーザー必須のアドオンアイテム。砂地やぬかるんだ地面でもチェアの安定性を劇的に向上させます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | ヘリノックス グラウンドシート |
| 価格帯 | 4,000円〜5,000円前後 |
| 特徴 | メッシュ素材で汚れに強く着脱が容易 |
| 公式サイト | メーカー公式ページはこちら |
ヘリノックス ロッキングフット
チェアの脚に取り付けるだけで、ロッキングチェアに変身させる魔法のパーツ。前後の心地よい揺れが、焚き火の時間をより贅沢なものに変えてくれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | ヘリノックス ロッキングフット |
| 価格帯 | 6,000円〜7,500円前後 |
| 特徴 | 軽量アルミ製、持ち運びに便利な袋付き |
| 公式サイト | メーカー公式・販売ページはこちら |
タクティカルチェアとチェアワンを比べる選び方
体格に合う座面高と座面幅で選ぶ
ヘリノックス選びで失敗しないための第一歩は、自分の体格を基準にすることです。標準体型の方であれば、タクティカルチェアやチェアワンのレギュラーサイズで十分な快適さを得られますが、肩幅が広い方や身長が高い方は注意が必要です。
レギュラーサイズだと、人によっては太もも横のフレームが食い込むように感じることがあります。そのような場合は、迷わずLサイズやXLサイズを選択肢に入れてください。座面幅が数センチ広がるだけで、圧迫感が解消され、リラックスの質が劇的に向上します。
また、座面が高いモデルは立ち上がりが楽になるため、キャンプ中にこまめに動く必要がある調理担当の方などにも向いています。お店で試着ができる場合は、単に座るだけでなく、実際に立ち上がる動作を繰り返してみて、膝や腰にかかる負担を確認することが大切です。
フレームの剛性と揺れの少なさを見る
ヘリノックスが他社の類似品と一線を画す最大の理由は、ポールメーカーとして世界的なシェアを誇るDAC社のアルミポールを採用している点にあります。このフレームは、単に軽いだけでなく、絶妙な「しなり」を持っています。タクティカルチェアは生地に厚みがある分、フレームにかかるテンションが強く、座った時の遊び(揺れ)が少なく感じられます。
これにより、作業をする際などの安定感が非常に高く、安心感に繋がります。一方でチェアワンは、メッシュ素材が柔軟に動くため、体勢に合わせて椅子全体がしなやかに寄り添ってくれるような感覚があります。
どちらも耐荷重は145kgと非常に頑丈ですが、自分が「カッチリした座り心地」を求めるのか、「ゆったりとした適度な揺れ」を求めるのかによって、フレームと生地の相性を見極めるのが賢い選び方です。
生地の張りと沈み込みの好みを決める
座り心地の好みを大きく分けるのが、生地の質感と張りの強さです。タクティカルチェアは前述の通り600デニールのポリエステル生地を使用しており、張りが強く、お尻の沈み込みが少なめです。これは、長時間座っていても姿勢が崩れにくいというメリットがあります。
一方、チェアワンやチェアホームは、タクティカルに比べると生地が柔らかく、お尻が少し深めに沈み込むような「包容力」のある座り心地が特徴です。ハンモックに揺られているような浮遊感を楽しみたい方には、柔らかい生地のモデルが適しています。
逆に、食事をしたり作業をしたりする時間を重視するなら、沈み込みが少ないタクティカルの方が姿勢を保ちやすく、疲れにくいと感じるでしょう。この「硬めか、柔らかめか」という感覚的な部分は個人の好みが大きく出るため、自分の理想のリラックススタイルを想像してみてください。
収納サイズと組み立てやすさを確認する
どんなに優れた椅子でも、持ち運びが苦痛だったり組み立てが複雑だったりしては、出番が減ってしまいます。ヘリノックスの全モデルに共通するのは、ショックコードで繋がったフレームが「半自動的」に組み上がる魔法のような組み立てやすさですが、収納サイズにはわずかな差があります。特にタクティカルチェアは、生地に厚みがある分、収納ケースに収める際に少し力が必要です。これに対し、メッシュを多用したチェアワンは生地が薄くしなやかなため、雑に畳んでもケースにスルリと収まりやすく、撤収時のストレスが少ないという利点があります。バイクのサイドバッグの僅かな隙間に入れたいのか、車のトランクにラフに積み込みたいのか。自分の移動手段とパッキングのスタイルを考慮して、ストレスのないサイズ感と重量(重さ)を持つモデルを選びましょう。
買う前の注意点と上手な使い方
砂地や芝では沈み対策を入れる
ヘリノックスのような4本脚のチェアには、宿命的な弱点があります。それは、接地面が小さいため、砂地や柔らかい土、湿った芝生の上では脚がズブズブと地面に沈み込んでしまうことです。
これを放置すると、椅子が不安定になるだけでなく、フレームに無理な負荷がかかって破損の原因になることもあります。この問題を解決する最も確実な方法は、純正の「グラウンドシート」や「ボールフィート」を導入することです。これらを装着することで接地面積が広がり、どんな不安定な地面でも快適な座り心地を維持できるようになります。
また、安価な対策としては、テニスボールを脚の先に付けるといった裏技もありますが、見た目の美しさと信頼性を損なわないためには、やはり専用のアクセサリーを一つ持っておくのが大人の賢い使い方です。
冬は冷えやすいので保温を足す
ヘリノックス、特にチェアワンに代表されるメッシュモデルは、夏場の通気性が最高である反面、冬場は背中やお尻から体温が奪われやすく、非常に寒く感じることがあります。
たとえ焚き火で前を温めていても、背後から忍び寄る冷気は防げません。冬キャンプでもヘリノックスを愛用したい場合は、保温対策を必ずセットで考えましょう。純正の「シートウォーマー」は、ダウンや中綿が入っており、チェアに被せるだけで驚くほどの暖かさを提供してくれます。
あるいは、お気に入りのウールブランケットを座面に敷くだけでも、保温性は格段に向上します。さらに、座面の下にアルミ蒸着のシートを挟むといった工夫を凝らすことで、オールシーズン快適に過ごせる万能チェアへと進化させることが可能です。
直置き収納は泥汚れを防ぐ工夫をする
タクティカルチェアの収納袋は、フレームに取り付けて小物入れにできる素晴らしい機能を持っています。しかし、これを地面に近い位置に取り付けると、雨上がりの泥跳ねなどで収納袋自体が汚れてしまうことがあります。
撤収時に汚れた袋に綺麗なチェアを戻すのは避けたいものです。対策としては、収納袋をフレームの上部に吊るすように工夫するか、あるいは地面に直接触れないようにフックを活用するのが賢明です。
また、ヘリノックスの脚先は泥を噛みやすいため、片付ける前にサッと一拭きできるウエスを用意しておくと、車内や自宅での保管がスムーズになります。ちょっとした手間をかけるだけで、高価なギアを美しく清潔に保つことができ、結果として製品の寿命を延ばすことにも繋がります。
ロッキングでくつろぎ用途を広げる
ヘリノックスをさらに一段階上のリラックスギアへと進化させるのが、「ロッキングフット」の活用です。脚の先端に取り付けるだけで、お馴染みのチェアが心地よいリズムで揺れるロッキングチェアに早変わりします。
キャンプの夜、焚き火を眺めながらゆらゆらと揺られる時間は、何物にも代えがたい至福のひとときです。また、ロッキングフットを装着することで、結果的に接地面積が広がるため、前述した「脚の沈み込み」を防止する効果も期待できます。
自宅のベランダやリビングで使う際も、床へのキズ防止とリラックス効果を同時に得られるため、オプションパーツの中でも特に満足度が高いアイテムです。椅子を「ただ座る場所」から「積極的に癒やされる場所」へとアップデートしたいなら、ぜひ導入を検討してみてください。
違いを理解して自分に合うヘリノックスを選ぼう
ヘリノックスのチェアは、一度その座り心地を体験してしまうと、他の椅子には戻れないほどの魅力を持っています。タフで機能的な「タクティカルチェア」か、軽快で万能な「チェアワン」か。どちらを選んでも、あなたのキャンプ体験がより豊かで快適なものになることは間違いありません。
自分の体格、よく行くキャンプ場の環境、そして何より「どんな風に過ごしたいか」という直感を大切にしてください。今回ご紹介した選び方のポイントを参考に、あなたにとって最高の相棒となる一脚を見つけて、次の週末はフィールドへと連れ出しましょう。

