マウンテンレインテックスジャケットとマウンテンライトジャケットの違いは用途で分かれる
ノースフェイスを代表する2つの名作、マウンテンレインテックスとマウンテンライト。見た目は似ていますが、その設計思想は大きく異なります。一方は「雨天時の機能性と軽さ」を極めたレインウェアの進化形、もう一方は「街着としてのファッション性と汎用性」を兼ね備えた定番シェルです。どちらを選ぶかで、アウトドアや日常での快適さは劇的に変わります。まずはそれぞれの核心的な違いから見ていきましょう。
レインテックスは雨対策寄りで軽さを意識した作り
マウンテンレインテックスジャケットは、その名の通り「レインウェア」としての機能をベースに開発されています。最大の特徴は、GORE-TEX(ゴアテックス)の3層構造を採用している点です。3層構造とは、表地、防水透湿膜、裏地を一つに貼り合わせたもので、非常にタフでありながら、肌離れが良くベタつきにくいというメリットがあります。
設計面では「雨の中での活動」が最優先されています。例えば、フードは襟元に収納できるビルドイン仕様になっており、雨が降っていない時はスタンドカラー(立ち襟)としてスッキリ着用でき、雨天時には素早くフードを取り出せます。また、着丈はマウンテンライトに比べて短めに設計されており、足さばきの良さを確保。カヌーのパドリングや登山の際に、裾が邪魔になりにくい機動力重視の作りです。
重さについても、無駄を削ぎ落とした設計により、見た目の重厚感に反して非常に軽量に仕上がっています。付属のスタッフサックに収納してコンパクトに持ち運べるため、天候が不安定な日のキャンプや川遊びにおいて、バックパックに忍ばせておく「最高峰の雨具」としてこれ以上ない信頼感を発揮します。
マウンテンライトは街でも映える定番シルエット
一方でマウンテンライトジャケットは、1990年代のノースフェイスを象徴するデザインを継承した、ファッション性の高いモデルです。最大の特徴は、お尻まで隠れる「やや長めの着丈」と、ゆったりとしたリラックスシルエットにあります。このシルエットが、細身のパンツからワイドパンツまで幅広くマッチし、都会的で洗練された印象を与えます。
素材にはゴアテックスの2層構造を採用しています。3層構造との違いは、裏地にメッシュやナイロンが独立して張られている点です。これにより生地がしなやかで柔らかく、日常の動作を妨げません。また、フロントのダブルフラップ仕様は、雨風の侵入を防ぐだけでなく、デザインとしての重厚感を生み出しており、ジッパーを開けて羽織った際にも形が崩れにくいのが魅力です。
街着としての人気が非常に高いモデルですが、もともとは登山用として開発された経緯があるため、防風・防水性能は折り紙付きです。デイリーユースをメインにしつつ、週末はキャンプや軽いトレッキングに出かけるといった、オンオフをシームレスにつなぎたいユーザーにとって、マウンテンライトはまさに「正解」の一着と言えるでしょう。
生地の厚みと着心地で好みが分かれやすい
この2つのモデルを実際に着用してみると、肌に触れる感覚や生地の質感が全く異なることに気づきます。マウンテンレインテックスは、3層構造特有の「ハリとコシ」が強く、パリッとした着心地が特徴です。生地自体にしっかりとした厚みを感じるため、雨に打たれても生地が体に張り付く感覚が少なく、プロテクション性能を強く実感できます。
対してマウンテンライトジャケットは、表地に70デニールのリサイクルナイロンを使用しており、適度な厚みがありつつも「しなやかさ」が際立ちます。裏地が別布になっていることで、インナーとの摩擦が少なく、重ね着をした際にも腕の通りがスムーズです。また、生地が柔らかい分、長時間着用していても疲れにくいというメリットがあります。
「ガッシリとした鎧のような安心感」を求めるならレインテックス、「日常に溶け込むしなやかな快適さ」を求めるならマウンテンライト。どちらが良い・悪いではなく、自分の好みの着心地や、アクティビティ中の運動量に合わせて選ぶことが大切です。特にカヌーのように腕を大きく動かすシーンでは、この生地の「硬さ」の好みが操作性に直結します。
価格差は素材と作り込みの違いが影響する
マウンテンレインテックスとマウンテンライトの間には数千円の価格差がありますが、これは主に「素材の構造」と「機能の拡張性」によるものです。一般的に、ゴアテックスは2層構造よりも、全ての層をラミネートした3層構造の方が製造コストが高くなる傾向にあり、それがレインテックスの価格に反映されています。
しかし、マウンテンライトジャケットには「ジップインジップシステム」という独自の機能が備わっています。これは内側の専用ジッパーでフリースやダウンを連結できる仕組みで、このシステムを組み込むための作り込みが施されています。また、フロントのフラップ部分やポケットの配置など、パーツの数が多く複雑な縫製を要するのもマウンテンライトの特徴です。
単純な防水スペックや軽量性を追求したレインテックスか、それとも冬場のレイヤリングまで考慮した拡張性のマウンテンライトか。初期投資の差だけでなく、そのジャケットを「いつまで(どの季節まで)」「どんなスタイルで」着続けたいかを考慮すると、自分にとってのコストパフォーマンスの正解が見えてくるはずです。
迷ったときに比較しやすいノースフェイスおすすめ6選
ノースフェイスのアウター選びは、レインテックスとマウンテンライトの二択だけではありません。用途や予算に合わせて、さらに選択肢を広げることで、自分にとってのベストバイが見つかります。軽量性に特化したものから、極寒地対応のものまで、比較対象として外せない主要な6モデルをピックアップしました。
マウンテンレインテックスジャケット
まずは比較の軸となる「マウンテンレインテックスジャケット」。本格的な雨具としての性能を街着に落とし込んだ名作です。厚手のナイロン生地は防風性も高く、春先や秋口の冷たい風もしっかり防いでくれます。フードが収納できるため、パーカーの上に重ね着しても首回りがモタつかないのが隠れたメリットです。
マウンテンライトジャケット
不動の人気を誇る「マウンテンライトジャケット」。長めの丈とゆったりした身幅は、中に着込むレイヤリングにも最適です。ジップインジップを活用すれば、これ一着で春から真冬まで対応できる「年間を通した主力アウター」になります。デザインのアイコン性も高く、所有欲を最も満たしてくれる一着です。
クライムライトジャケット
レインテックスよりもさらに機動性と軽量性を追求したいなら「クライムライトジャケット」が筆頭候補です。ゴアテックスマイクログリッドバッカーを採用し、驚くほど軽く、しなやかな着心地を実現しています。スリムなシルエットは風によるバタつきを抑えるため、カヌーや登山など本格的なアクティビティに最適です。
ベンチャージャケット
「もっと手軽に防水アウターを手に入れたい」という方には「ベンチャージャケット」がおすすめ。ゴアテックスではありませんが、独自の防水透湿素材を使用しており、非常に軽量でコンパクトに収納できます。価格も抑えられており、カヌーツアーの予備着やフェス、旅行の備えとして非常に優秀なコストパフォーマンスを誇ります。
マウンテンジャケット
「マウンテンライトではスペックが足りない」という本気派には「マウンテンジャケット」が用意されています。150デニールという極厚のゴアテックスを使用し、雪山登山も想定したフラッグシップモデルです。脇下のベンチレーションやスノーカフなど、過酷な環境を生き抜くための機能が凝縮された、まさに「一生モノ」のハードシェルです。
コンパクトジャケット
防水性能は不要で、日常の防風や小雨程度をしのげれば良いなら「コンパクトジャケット」が最適です。ナイロン素材ながらコットンのような質感で、軽量かつ撥水加工が施されています。カヌーの後の着替え時や、キャンプの夕暮れ時にサッと羽織るのに便利で、一着あると重宝するカジュアルアウターの決定版です。
自分に合うのはどっち?違いを選びに変えるコツ
2つのモデルの違いを理解したところで、最後に「自分にとっての正解」を導き出すためのチェックポイントを確認しましょう。使用環境や、今持っているワードローブとの相性を照らし合わせることで、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。
通勤や街メインなら見た目のバランスで選ぶ
主に都会での通勤や通学、休日のお出かけに使うのであれば、見た目のシルエットが最優先事項になります。マウンテンライトジャケットは、お尻をカバーする丈の長さがスタイリッシュな印象を与え、ジャケットやスーツの上から羽織っても裾がはみ出しにくいという実用的なメリットがあります。
対してマウンテンレインテックスは、着丈がスッキリと短いため、自転車やバイクに乗る際に裾が邪魔にならず、アクティブな印象を与えます。また、フードを収納した時のスタンドカラーは、ビジネスシーンでも「レインウェア感」を抑え、清潔感のあるスタイルを演出してくれます。自分のライフスタイルが「歩き」中心か「乗り物」中心か、あるいは「きれいめ」か「スポーティー」か、鏡の前でイメージしてみましょう。
雨の日の安心感は止水やフード調整で変わる
雨天時の使用を重視するなら、ディテールに注目しましょう。マウンテンレインテックスは雨具としての出自を持つため、フードのフィット感を高めるアジャスターが充実しており、強風下でも視界を遮りません。また、3層構造の生地は水を含んで重くなりにくいため、長時間の雨中活動でも快適さが持続します。
マウンテンライトも高い防水性を誇りますが、フロントの大きなダブルフラップなど「構造で防ぐ」部分が大きいため、激しい運動を伴う雨天時は、レインテックスの方が軽快に感じられます。カヌーのように水しぶきを浴び続ける環境であれば、止水ジッパーを採用し、水捌けの良い設計になっているレインテックスの方が、後の手入れも含めて安心感が高いと言えるでしょう。
重ね着するならサイズ感と身幅を確認する
「冬もメインで着たい」と考えているなら、重ね着(レイヤリング)のしやすさが重要です。マウンテンライトジャケットは、もともと中に着込むことを想定して身幅が広く作られており、ジップインジップによる拡張性もあります。厚手のセーターやフリースを合わせても、シルエットが崩れにくいのが強みです。
一方、マウンテンレインテックスは、標準的なフィット感で作られているため、中に厚手のものを着込むと少しタイトに感じることがあります。冬場も活用したい場合は、普段よりワンサイズ上を選ぶなどの調整が必要です。自分が一番寒い時に、中に何枚着るかを想像し、その状態で腕がスムーズに回るかどうかを基準にするのが失敗しないコツです。
手入れのしやすさは素材と汚れの目立ち方で決まる
高価なジャケットを長く愛用するためには、メンテナンス性も無視できません。マウンテンレインテックスの3層構造は裏地が貼り合わされているため、洗濯時の乾燥が早く、皮脂汚れによる膜の剥離(加水分解の進行)が起こりにくいという耐久性の高さがあります。
マウンテンライトの2層構造は、裏地のメッシュなどが汚れをキャッチしやすいため、こまめな洗濯が推奨されます。また、色の選び方も重要です。ケルプタンなどの明るい色は街で映えますが、アウトドアでの泥汚れは目立ちます。ブラックやニュートープなら汚れも気になりにくく、タフに使えます。自分の「掃除の頻度」と「汚れを気にする度合い」を天秤にかけて、長く付き合える一着を決定しましょう。
マウンテンレインテックスとマウンテンライトの違いまとめ
マウンテンレインテックスとマウンテンライト、どちらもノースフェイスが誇る最高のジャケットですが、選ぶべきはあなたの「フィールド」がどこかによります。
- マウンテンレインテックスが向いている人:
雨の中でもアクティブに動きたい、軽さを重視したい、カヌーや登山などの本格的な活動がメイン。スッキリした立ち襟デザインが好き。 - マウンテンライトが向いている人:
街着としてのファッション性を重視したい、冬場はインナーを連結して暖かく着たい、ゆったりしたシルエットを好む。
「雨を防ぐ道具」としての信頼を勝ち取るか、「街と山を繋ぐスタイル」を手に入れるか。今回の比較を参考に、あなたのライフスタイルをより豊かに、より快適にしてくれる最高の一着をぜひ手に入れてください。

